医薬品世界大手米ジョンソン・エンド・ジョンソンと同社傘下のヤンセンファーマは7月19日、米インフレ抑制法(IRA)に基づくメディケアでの薬価交渉を不服とし、米国保健社会福祉省とメディケア・メディケイド・サービスセンターを相手取り、連邦地方裁判所に提訴した。
【参考】【アメリカ】上院、インフレ抑制法案を可決。再エネ・EV促進で50兆円。自社株買い課税も(2022年8月8日)
インフレ抑制法では、高齢者及び障害者向け公的医療保険制度(メディケア)に基づく医薬品メーカーとの薬価交渉を容易にする規定を盛り込んでいる。今後5年頃を目途に高価格の医薬品10品目から開始し、その後品目を拡大。メーカー側が同意しない場合、選択された医薬品の1日の売上高の1900%にも上る巨額の違約金を支払うか、メディケアとメディケイドの双方から全ての医薬品の撤退が迫られる。
同法の立法過程では、与党民主党が、高齢者等の処方医薬品の負担削減を理由に立法を推進。一方、野党共和党は、医薬品メーカーの負担が増えるとして、反対の立場を採っていた。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは今回、企業が医薬品開発イノベーションに成功した場合、企業はその革新的技術について期限付きで憲法上保護された権利を持つと主張。また、同社は2016年以降だけで、657億米ドル(約9.3兆円)のR&D投資をしてきたとした。しかし、インフレ抑制法により、市場価格を大幅に下回る価格条件で提供することが強制されれば、研究開発エコシステムそのものを破壊すると指摘した。さらに、メディケアとメディケイドから製品を撤退させられた場合、米国の患者の約40%が、必要な医薬品にアクセスできなくなる可能性があると訴えた。
【参照ページ】Protecting the Healthcare Innovation Ecosystem
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