世界保健機関(WHO)は12月14日、各国政府に対し、電子たばこの規制を求める緊急声明を発表した。電子たばこが、SNSやインフルエンサーを通じ子供たちをターゲットにしていることに大きな懸念を表明した。
WHOは、ニコチンを含む電子たばこは中毒性が高く、健康に有害との立場をとっている。また、長期的な健康への影響は完全には解明されていないものの、有害物質が発生することは確認されており、その一部はがんを引き起こすことが知られていると言及した。さらに脳の発達にも影響を与え、若者の学習障害につながる可能性もあるという。他にも、胎児の暴露による妊婦の胎児の発育への悪影響や、周辺者への副流煙リスクもあると伝えた。
その中で、WHO加盟の全地域で、13歳から15歳の子供が成人よりも高い割合で電子たばこを使用していると指摘。特に、カナダでは、16歳から19歳の電子たばこ使用率が、2017年から2022年の間に倍増し、英イングランド地方では、若年ユーザー数が過去3年間で3倍に増加している模様。電子たばこは、すでに16,000種類以上のフレーバーが提供されており、若年者のマーケティングとして機能している。
現在、34カ国が電子たばこの販売を禁止。一方、88カ国が電子たばこを購入できる最低年齢を定めず、74カ国がこうした有害な製品に対する規制を設けていない。
WHOは今回、電子たばこの販売、輸入、流通、製造を禁止していない国に対し、すべてのフレーバーの禁止、ニコチンの濃度と質の制限、たばこ税強化、電子たばこの魅力と国民への害を減らすための強力な規制の確保を求めた。また、電子たばこの販売を禁止している国に対しても、禁止措置の実施を強化し、公衆衛生介入の支援と強力な執行確保のためのモニタリングとサーベイランスを継続することを求めた。
WHOは、禁煙対策は、入手可能な最善のエビデンスに基づき、他のたばこ規制対策と歩調を合わせ、モニタリングと評価の対象とすべきと強調。現在のエビデンスに基づき、政府が禁煙目的のために消費者製品としての電子たばこの販売を許可することは推奨できないとした。
【参照ページ】Urgent action needed to protect children and prevent the uptake of e-cigarettes
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