米財務省と内国歳入庁(IRS)は12月22日、インフレ抑制法(IRA)に基づくクリーン水素製造減税措置のルール案を発表した。連邦官報に掲載された後、60日間のパブリックコメント受付期間に入る。
【参考】【アメリカ】政府、クリーン水素ガイダンス発行が大幅遅延。労働基準は発表。インフレ抑制法(2023年9月26日)
同ルール案では、水素製造プロセスの二酸化炭素排出率に基づき、4段階で控除を実施。先に発表されていた労働基準を満たす水素製造施設の場合、減税額は水素製造のライフサイクル排出量に応じ、水素製造量1kg当たり最低0.60米ドル、最高3米ドルの減税が受けられる。
ライフサイクル排出量の算定では、アルゴンヌ国立研究所が開発した「45VH2-GREETモデル」を採用。第三者検証も義務付けられる。同モデルでカバーできない製法や原料を用いる場合には、類似の暫定排出率を財務長官に申請することができる。
さらに電源証明(EAC)を用いた再生可能エネルギー等のグリーン水素の生産に関しては、3つの条件を課す。
- 追加性(アディショナリティ):水素施設が稼働を開始してから3年以内に商業運転を開始した電源のみが有効。発電設備容量が追加されたアップデート電源も対象となる。但し、今回のパブリックコメントでは、あらためて既存の発電所での電源証明活用の道の在り方についても意見を求めている。
- 地理的相関性:エネルギー省の2023年全国送電需要調査に基づき、水素製造事業者と同地域の電源から供給されなければならない。但し、今回のパブリックコメントでは、あらためて地域間のクリーン電力の送電の在り方についても意見を求めている。
- 時間的相関性(同時性):2028年までは年単位での同時性を容認しつつ、時間(Hour)単位の同時性の確保を要件として課していく
さらに、再生可能天然ガスを使用したガス改質での水素生産については、再生可能天然ガス(RNG)と炭鉱や炭層メタン等の逃散性メタンを利用した水素製造経路を追加的に適格とする規則を最終化する予定。今回要件の在り方についてパブリックコメントを求めた。
【参照ページ】U.S. Department of the Treasury, IRS Release Guidance on Hydrogen Production Credit to Drive American Innovation and Strengthen Energy Security
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