英競争・市場庁(CMA)は12月12日、2008年不公正取引消費者保護規則(CPR)に基づき、ユニリーバに対する「グリーン」訴求の調査を開始すると発表した。グリーン訴求を不当に誇張している「グリーンウォッシュ」の疑いがあるとみている。先進企業という評判の高いユニリーバを調査対象とすることで、他の企業に対するモデルケースにする狙いがあるとみられる。
CMAは2023年1月、グリーンウォッシュの調査対象を消費財(FMCG)にも拡大。CMAはユニリーバに対する初期調査をすでに実施しており、グリーンウォッシュの疑いがあると認定。今回正式な調査開始に踏み切った。
具体的な事象では、
- ユニリーバが使用する特定の記述や表現が曖昧かつ広範に見え、当該製品の環境インパクトを消費者に誤解させる可能性がある。
- 一部の成分に関する訴求は、当該製品がいかに「自然」であるかを誇張するような形で表示されており、不正確または誤解を招く可能性がある。
- 製品の一側面に焦点を当てた訴求は、製品全体が環境に優しいことを示唆する可能性がある。
- 特定の環境主張(特にリサイクル可能性に関する主張)は、製品全体が対象なのか、一部が対象なのか、あるいはパッケージが対象なのかが特定されておらず、不明瞭な可能性がある。
- 色やイメージ(緑の葉等)の使用は、一部の製品が実際よりも環境に優しいという全体的な印象を与える可能性がある。
今回の調査では、CMAがユニリーバに対し、まず書面で懸念を通達。その後、CMAは調査権限を発動し、同社から証拠を収集する。調査の結果に基づき、業務改善の指示、訴訟、沙汰なし等を決める。
CMAは2021年9月、環境訴求のガイドライン「グリーン・クレーム・コード」を公表。判断軸を示したことで、グリーンウォッシュを摘発しやすくしている。今回のユニリーバに対する調査も、FMCGを対象とした幅広い調査の一環。正式調査開始はユニリーバが第1号だが、他の企業に対する初期調査が進められていることを明らかにした。
【参考】【イギリス】政府、アパレルのグリーンウォッシュ摘発で捜査開始。ASOS、Boohoo等(2022年8月15日)
【参照ページ】Unilever’s ‘green’ claims come under CMA microscope
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら