環境省は1月11日、「調整後温室効果ガス排出量を調整する方法の一部を改正する件」を告示し、4月1日から適用すると発表した。すでに概要は12月に発表されている。
【参考】【日本】環境省、温対法SHK制度のCO2算定ルール大幅改正。2023年度実績報告から適用(2023年12月15日)
今回の変更では、廃棄物について、「燃料としての廃棄物の利用」と「廃棄物由来の燃料(RPF、RDF等)の使用」が、地球温暖化対策推進法(温対法)に基づく温室効果ガス排出量の算定・報告・公表(SHK)制度において、「非エネルギー起源二酸化炭素排出量」ではなく「エネルギー起源二酸化炭素排出量」として扱われるようになる。同時に、調整後排出量では廃棄物のエネルギー利用分を控除する制度を導入し、調整後排出量にはカウントされなくなる。
廃棄物のエネルギー利用では、プラスチックを油化もしくはガス化等を行い原燃料利用するケース、RPFやRDFに転換してエネルギー利用するケース、また焼却して熱回収を行うケースの大きく3種類がある。このうち、原燃料利用及びRPF等での利用の2つについては、エネルギー起源の二酸化炭素排出量と扱われる。焼却での熱回収は、引き続き非エネルギー起源二酸化炭素排出量のまま。調整後排出量での扱いでは、3つすべてカウントされず、排出量削減効果が認められる。
一方、廃棄物のエネルギー利用を行わず、単純焼却した場合は、「非エネルギー起源二酸化炭素排出量」として扱われ、かつ、調整後排出量からは控除されず、カウント対象となる。
背景は、改正省エネ法において、廃棄物のエネルギー活用(熱回収含む)が、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換の対象とされたことに伴い、国の制度上の整合性を図ったというもの。単純焼却ではなくエネルギー利用を促進する狙いがある。但し、グローバルでは、廃棄物のサーキュラーエコノミー化として、熱回収が忌避される傾向にあるが、日本では熱回収が推奨されることになる。
【参考】【日本】改正省エネ法、4月1日から施行。エネルギー全般の原単位削減や非化石転換を提唱(2023年3月1日)
また、ガス事業者及び熱供給事業者についても、調整後排出係数の公表が始まる。
さらに、従来は調整後排出係数の算定で活用できる証書は、JクレジットとJCMだけだったが、非化石証書、グリーン電力証書、グリーン熱証書についても、SHK制度上での控除の対象となる。但し、グリーン電力証書と非化石証書はスコープ2の電力からの排出量が使用量上限、グリーン熱証書はスコープ2の熱供給からの排出量が使用量上限となる。
【参照ページ】「調整後温室効果ガス排出量を調整する方法の一部を改正する件」の告示について
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら