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EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は2月6日、欧州議会の場で演説し、EU理事会及び欧州議会との調整を進めてきた持続可能な植物保護剤(PPP)の使用に関する規則(SUR)案を撤回する意向を表明した。欧州議会が2023年11月に否決し、その後も調整を続けてきたが、現時点での制定は難しいと判断した。
SURは、EUの食料・農業政策「Farm to Fork戦略」の一環として、欧州委員会が2022年6月に提案。2030年までに化学合成農薬全体の使用とリスクを50%削減、2030年までに有毒性の高い農薬の使用を50%削減することを掲げていた。
2023年11月に欧州議会の議決では、賛成207、反対299、棄権121で否決。EU理事会でも協議に進展がみられない状況が続いていた。
フォン・デア・ライエン委員長は今回、SUR案の撤回を正式に欧州委員会に提案すると表明。一方、持続可能な農薬使用については、今後も重要政策としつつ、農家等との対話を重視したアプローチに転換していく必要があると伝えた。対話には、農家、若手農家、農村コミュニティ、種子・肥料産業、食品業界、加工業界、金融機関、協同組合金融業界、消費者団体、環境団体、アカデミアを幅広く招く。
同法を巡っては、ドイツ、ベルギー、フランス等で農家が道路を封鎖する反対運動が展開。フォン・デア・ライエン委員長は、農家は、気候変動の影響を受け、さらにウクライナ戦争でのエネルギー・肥料の価格高騰に苛まれており、農家の状況に一定の理解を示した。
【参照ページ】Speech by President von der Leyen at the European Parliament Plenary on the conclusions of the European Council meetings, in particular the special European Council meeting of 1 February 2024
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