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EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は1月29日、フッ素系温室効果ガス(Fガス)とオゾン層破壊物質(ODS)の段階的廃止を規定した2件の改正EU規則を採択した。欧州議会はすでに1月16日に採択しており、同EU規則が成立した。EU官報掲載の20日後に発効する。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、Fガスの段階的廃止で政治的合意。今後立法審議へ(2023年10月6日)
同改正EU規則では、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用を、2030年までに、EU域内で市場で流通するHFCは2015年比で95%削減し、2050年までに廃止する。既存の生産割当量も大幅に削減され、2036年までに85%以上段階的に削減する。輸入も年々制限される。
最終製品レベルでは、HFCを含む家庭用冷蔵庫、冷凍設備、発泡スチロール、エアゾール等の製品および機器の上市を全面的に禁止。小型モノブロックヒートポンプと空調(12kW未満)では2032年、スプリット空調及びヒートポンプは2035年、Fガスに依存する52kV未満の中電圧開閉装置は2030年、52kV未満高圧開閉装置は2032年が上市期限となる。これらにより、2050年までに、年間5億tの二酸化炭素排出量を削減できる見通し。
同規則の影響とインパクトは、遅くとも2030年1月1日までに欧州委員会がレビューする。また欧州委員会は2040年までに、HFCの消費に関する2050年の段階的廃止の実現可能性と、HFCが現在も使用されているセクターにおけるHFCの必要性を、技術的発展と当該用途におけるHFCの代替品の利用可能性を考慮して評価しなければならない。
オゾン層破壊物質(ODS)については、ほとんどの用途で使用を禁止。他の物質を生産するための原料としてのODSの使用にのみ例外規定が盛り込まれた。欧州委員会は、原料利用が禁止されているODSsのリストも定期的に更新する。また、プロセス剤、実験室での使用、軍事機器や航空機等の特殊用途における防火のためのODSの使用も、厳しい条件下で認められる。
さらに、破壊、リサイクル、再生のためにODSを回収する要件を、技術的・経済的に可能であれば、建材(断熱発泡体)、冷凍、空調、ヒートポンプ機器、溶剤を含む機器、防火システム、消火器、その他の機器等の分野にも拡大した。
【参照ページ】Fluorinated gases and ozone-depleting substances: Council greenlights new rules to reduce harmful emissions
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