
国際グリーンボンド基準策定NGO気候債券イニシアチブ(CBI)は3月27日、包括的な電力事業者向け気候債券基準(CBS)の初版を発行した。対象は発電事業者、小売電力事業者、電力市場取引事業者。再生可能エネルギー関連や蓄電、送配電は別途CBSが発行されており対象外。
電力事業者向け気候債券基準は、化石燃料火力発電所を含めた多様な電力ミックスを持つ大手電力事業者を主な対象としている。これまでのCBSは個別の発電プロジェクト単位を資金使途にするものであったため、大手電力事業者にとっては活用しづらかった。
今回の策定した基準では、まず、法人単位の排出係数基準として、2025年に460g-CO2/kWh、2030年に186g-CO2/kWh、2035年に48g-CO2/kWh、2040年に3g-CO2/kWh、2045年以降は0を設定。コージェネレーション(熱電併給)を活用している場合には、熱と電気に割り振ったうえで、電力側分が算定対象となる。地熱発電ではメタン等の漏出、バイオマス発電ではバイオマス燃料生産・輸送時の排出量も含めて計算することが必須で、双方とも既存の発電所では100g-CO2/kWh、新規の発電所では50g-CO2/kWhを超えてはならない。
次に、石炭火力発電所と石油火力発電の廃止を、国際エネルギー機関(IEA)が定義する先進国で2030年、その他発展途上国で2040年。化石燃料由来のガス火力発電の廃止は、グローバルで2040年に設定した。小売電力事業者についても同じ基準が適用される。また化石燃料の開発、採掘、輸送、精製等を拡張しないことへのコミットも求められる。
石炭火力発電とガス火力発電に関しては、炭素回収・利用・貯留(CCUS)の併設や、バイオマス、水素、アンモニア等の混焼や専焼の考え方についても整理された。CCUSの併設に関しては、炭素回収率90%以上が必須。バイオマス、水素、アンモニア等については100%専焼のみが適格性を持つ。またそれぞれに詳細な基準も設けられた。
【参照ページ】Electrical Utilities Criteria now available: Enabling whole Entity Certification under the Climate Bonds Standard
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