
欧州委員会は4月30日、デジタルサービス法(DSA)に基づき、メタ・プラットフォームズに対する違反調査を正式に開始した。同社に対しては3月にも違反調査が始まっており、今回違法疑いの事案が増えた形となった。
【参考】【EU】欧州委、アルファベット、アップル、メタの正式調査開始。DMA違反疑い。罰金最大売上10%(2024年3月26日)
今回の事案は、同社が運営するフェイスブックとインスタグラムでの偽情報対策や政治的コンテンツに関する違反。偽情報や偽情報広告への対策では、同社が適切に対処していないことで、消費者保護、市民的言説、選挙プロセス、基本的権利にもリスクをもたらす可能性があるとした。
政治的コンテンツについては、フィード等からの政治的コンテンツの表示順位判定スコアを下げる「政治的コンテンツアプローチ」を導入しているものの、透明性、ユーザー救済の義務、市民的言説と選挙プロセスに対するリスクを評価し軽減するための要件を満たしていない可能性があると判断した。
加えて、同社が適切な代替策を講じることなく、リアルタイムでの公開ツール「CrowdTangle」の運用を廃止しようとしていることも問題視した。欧州委員会は3月26日、「超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)プロバイダーに対する選挙プロセスに対するシステミックリスクに関するガイドライン」を発出しており、同ガイドラインの観点からも「CrowdTangle」の運用廃止は推奨されないとした。
また同社は、違法コンテンツにフラグを立てる運用を行っているが、ユーザーが苦情を通報できる仕組みが整備されていない疑いがあることも指摘した。
正式調査の発動により、欧州委員会は、暫定措置や不遵守決定等、さらなる執行措置を講じる権限を与えられる。欧州委員会は、手続で提起された問題を改善するために調査対象企業がコミットした内容を受け入れ、調査を終了する権限も与えられる。DSAは、正式な手続きを終了させる法的期限を定めていない。
正式調査の結果、違反性があったと判断されれば、欧州委員会は当該企業のグローバル売上の最大10%の制裁金を科すことができ、違反が継続された場合には最大20%の制裁金を科すことができる。組織的な違反があった場合には、ゲートキーパーに対し、事業またはその一部を売却することを義務付けたり、ゲートキーパーに対し、組織的な違反に関連する追加的なサービスの取得を禁止する等の追加的な救済措置を採ることもできる。
【参照ページ】Commission opens formal proceedings against Facebook and Instagram under the Digital Services Act
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