
世界経済フォーラム(WEF)は4月28日、食料安全保障を改善するためのアグリテック・イノベーションの動向に関する報告書を発表した。2021年に「農業イノベーションのための人工知能(AI4AI)」イニシアチブが発表したコミュニティペーパーを発展させた。
国連食糧農業機関(FAO)の試算では、2050年の世界人口91億人の食料を確保するために農業セクターは現在の1.7倍の食料を生産する必要があり、気候変動、土壌の劣化、サプライチェーンにおける地政学的な混乱等の数多くの問題にも同時に対処しなければならない。
同報告書は、飛躍的に食料の生産性を向上させるには、拡張現実(AR)、気象予測へのAI活用、トレーサビリティ、スマートロジスティックス、IoT(Internet of Things)等の第4次産業革命技術の活用が必須となると指摘。これらのテクノロジーを導入している農家は世界平均では39%だが、地域差が大きい。欧州では62%の農家が導入しているのに対し、アジアでは9%しかなく、アフリカ、中南米の小規模農家や女性農家ではほとんど導入が進んでいない。
同報告書では、「Intelligent crop planning」「Smart Farming」「Farmgate-to-fork」「Data governance」の4つのテーマに対し、20以上の実践事例を分類。各テーマの概説とケーススタディを紹介した。
(出所)WEF
これらのテクノロジーを導入した成功事例では、インドのテランガナ州で実施された唐辛子農家におけるパイロットプロジェクトを紹介。関連技術を導入した農家の収益が導入していない農家と比較して18%増加した。現在では5つの作物に対して50万人の農家にまで拡大し導入が進んでいるという。
【参照ページ】New Report Calls for Inclusive Agritech Innovations to Improve Food Security
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