
欧州委員会は6月24日、デジタル市場法(DMA)に基づき、米アップルに対し予備調査結果を通知した。アプリ開発者がユーザーに対して別のチャネルから自由にオファーやコンテンツを提供する行為を、同社のApp Storeルールが妨げているとの予備的見解を示した。アップル、アルファベット、メタ・プラットフォームズ3社に対する正式調査で、アップルが予備的見解発出第1号となった。
【参考】【EU】欧州委、アルファベット、アップル、メタの正式調査開始。DMA違反疑い。罰金最大売上10%(2024年3月26日)
予備的見解とは、予備的調査結果を対象企業に通知し、対象企業に反論の機会を与えるもの。予備的見解の内容を欧州委員会が最終的に承認し、デジタル市場法違反が確認されると、欧州委員会は2024年3月25日の正式調査開始から12ヶ月以内に、デジタル市場法違反を正式に採択することができる。違反時の制裁金は、当該企業のグローバル売上の最大10%、違反が継続された場合には最大20%。
今回の事案では、アップルのApp Storeでアプリ開発者に遵守を求めている取引規約が問題となった。まず、アプリ開発者がユーザーを自由にApp Store外に誘導することを禁止しており、これによってApp Store外の安価な購入チャネルへの誘導を妨げていると判断された。
次に、アプリ開発者に「リンクアウト」によるステアリングのみを認めている点も突かれた。アプリ開発者は、ユーザーが契約締結ウェブページにリダイレクトするリンクをアプリに埋め込むことができるが、「リンクアウト」プロセスはアップルによって課される制限の対象となり、アプリ開発者が選択した流通チャネルを通じてコミュニケーションを行ったり、オファーを宣伝したり、契約を締結したりすることができない。
また、アプリ開発者は、App Storeを通じ、新規ユーザーを獲得することを促進するための手数料をアップルに支払う制度があるが、アップルが請求する手数料には、正当性を欠くものがあると判断された。具体的には、アップルは、ユーザーがアプリからリンクアウトした後7日以内にデジタル商品・サービスを購入するごとに、開発者に手数料を請求している点が不当とされた。
欧州委員会は今回、DMAを遵守するためにアップルがアプリ開発者向けに新たに設定した契約条件についても、違反調査を開始した。具体的には、代替アプリストアの提供や代替流通チャネルを通じたアプリ提供に関する条件に問題があるとみている。
同事案では、アップルは、サードパーティーのアプリストアやサードパーティーのアプリ開発者に対し、インストールされたアプリ1つにつき0.5ユーロを課金する「コア技術料」の違法性、アップルがiPhoneに代替のアプリストアやアプリをダウンロード、インストールするために複数の煩雑なステップを設けていることの違法性、iPhoneで代替アプリストアを提供したり、ウェブからアプリを直接配信したりする能力に関するアプリ開発者の資格要件の違法性の3つを調査する。
【参照ページ】Commission sends preliminary findings to Apple and opens additional non-compliance investigation against Apple under the Digital Markets Act
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