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【日本】総務省、フジメディアHDに報告徴求命令。再発防止対策の適否は当局判断へ

【日本】総務省、フジメディアHDに報告徴求命令。再発防止対策の適否は当局判断へ 1

 総務省は4月3日、放送法に基づき、フジ・メディア・ホールディングスと傘下のフジテレビジョン(フジテレビ)に対し、3月31日に発表した調査報告書に関する具体策の報告と、3ヶ月以内に実施状況の報告を要求する行政指導を発出した。さらに、一般社団法人日本民間放送連盟に対しても、人権尊重、コンプライアンス、ガバナンスに関する施策の実効性を確保するよう要請した。

 フジ・メディア・ホールディングスは3月31日、中居正広氏と元フジテレビ女性アナウンサーとの間で発生した性暴力事案に関し、第三者委員会が調査した報告書を公表。業務の延長線上で性暴力による人権侵害と判定され、港浩一元フジテレビ社長らの対応が人権侵害の救済において極めて杜撰と判断された。またフジテレビ社内には、セクシャルハラスメントを中心にハラスメントに寛容な企業体質があり、現実にハラスメント被害が起きていたとも記述された。

 体制面でも、人権侵害を防ぐ、リスク管理体制、取締役会によるガバナンスも機能していなかったと断定。取締役、経営陣、上級管理職において、「思慮の浅さ」と「集団浅慮」を生む組織の同質性、閉鎖性、硬直性がいまだに残存していることを構造課題として指摘した。

 再発防止に向けては、同社は被害女性に対し真摯に謝罪することから始め、他のハラスメント事案も含め、被害者の心情に向き合い、被害を救済し、二次被害を守り抜くことを決断するよう求めた。その上で、人権方針実施体制の見直し、人権デューデリジェンスの強化、人権救済メカニズムの構築の3つを迅速に進めるべきとした。さらに、社内の通報窓口が信頼されていないことから、社外に通報窓口を設置することも求めた。同時に、取引先(出演者、芸能プロダクション、制作会社、スポンサー、広告代理店等)や取材先からのカスタマーハラスメントに対応する体制を構築することも求めた。

 加えて、同質性のある社内風土を変えるため、女性役員や女性管理職の女性比率を上げることは早期に実現されるべきとし、取締役の多様性の確保、長期在任社の適格性、年齢層の若返り、重要な経営課題に対処できるスキルの特定とスキルマトリクスへの反映等も提言した。

 すでにフジ・メディア・ホールディングスは1月、同社の嘉納修治会長、港浩一取締役兼フジテレビ社長の退任を発表。新たに清水賢治専務取締役がフジテレビ社長にも兼任した。さらに3月27日には、2025年6月の株主予定の候補者を発表し、改選期を迎えた全社外取締役も退任することとなった。新体制では、取締役を17人から11人に減らし、常勤取締役では社内から2人の女性を起用し、社外取締役も2人を起用することで、女性比率を36%まで引き上げる。社外取締役比率も55%とする。    また同社は、第三者委員会の報告書を受け、自己認識が甘かったと表明。速やかに関係者に対する厳正な処分を行うことも明言した。さらに今後の対策としては、人権・コンプライアンス事案は、取締役とグループ社長会議に対する報告を必須化し、必要に応じて外部有識者の意見を取り入れることも決めた。さらに社長を委員長、外部人権有識者を副委員長とするグループ人権委員会も新設し、定期開催も決めた。

 今回、総務省が報告徴求命令を出したことで、同社の対応の適否については、総務省の判定が入ることになったといえる。今回の報告書好評及び是正対策発表をもって、中止していたフジテレビへのCMを復帰することを検討する企業も出てくると思われる。一方、あらためて3ヶ月以内に総務省に報告することになる報告書を総務省がどう判断するかに焦点が移ることになったともいえる。

【参照ページ】株式会社フジテレビジョンに対する措置等 【参照ページ】第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ 【参照ページ】第三者委員会の調査報告書を受けて 【参照ページ】人権・コンプライアンスに関する対応の強化策について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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