
世界保健機関(WHO)は4月24日、WHOからの脱退を決定している米国政府からの拠出金が支払われなくなっていることを受け、業務と人員を削減する案をWHO職員と加盟国に提示した。世界食糧計画(WFP)でも人員削減計画が進められている。
米国政府は、2022年と2023年にWHOに13億米ドル(約1,800億円)を拠出。一方、第2次トランプ政権に移行してからは拠出を停止している。WHOは、2026-27年の予算を10.7億米ドル(約1,500億円)と見込み、米国の拠出金停止と他の国での政府開発援助(ODA)予算の減額により、2026-27年の2年間の予算ギャップが5.6億米ドルから6.5億米ドル発生すると想定し、中核的な活動に業務を絞り込む。
今回の計画案によると、世界に職員8,000人以上を抱える中、人件費を約25%減額。特に本部の上級管理職の削減を進め、本部のシニア・リーダーシップ・チームは12人から7人に、部署の数も76から34へと削減する。また、WHO地域事務所についても、先進国では閉鎖される事務所が出てくることも示唆した。
WHOと国連児童基金(UNICEF)、GAVIアライアンスは同日、誤情報、人口増加、人道危機、資金削減によって予防接種の実施が衰えており、はしか、髄膜炎、黄熱病等、ワクチンで予防可能な疾病の発生が世界的に増加していると警鐘を鳴らした。事実上消滅にまで追い込んできたジフテリア等も再発の可能性があるという。
WFPでも同様に、米国政府からの資金途絶と他の国にODA削減により、人員を20%から30%削減する必要があると結論に達した模様。米国はWFPの最大の援助国で、2024年にはWFP予算の46%を拠出していた。WFPは4月8日、米国政府が、アフガニスタン、シリア、イエメン等14カ国の緊急食糧支援を打ち切ったと公表していた。
OECD(経済協力開発機構)によると、世界全体のODA額は、2024年に前年比7.1%減となり、2019年以来初の減少となった。2024年のODA実績では、米国が最大で633億米ドルで開発援助委員会(DAC)のODA総額の30%を占め、その後に、ドイツの324億米ドル、英国の180億米ドル、日本の168億米ドル、フランスの154億米ドルが続いた。
【参照ページ】Increases in vaccine-preventable disease outbreaks threaten years of progress, warn WHO, UNICEF, Gavi
【参照ページ】International aid falls in 2024 for first time in six years, says OECD
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