国連責任投資原則(PRI)は1月8日、中国政府が発表した2060年カーボンニュートラル目標に合わせ、機関投資家の立場から中国政府が実施すべき政策アクションをまとめたペーパーを英語と中国語で発表した。
【参考】【中国】習近平主席、国連総会で2060年カーボンニュートラル目標を宣言。2030年までにピークアウト(2020年9月24日)
PRIは、二酸化炭素排出量の多い国・地域を対象に、政策提言ペーパーを数多く発行してきており、今回のペーパーもその一つ。カーボンニュートラルを実現するためには、巨額のファイナンスが必要となることを受け、各国政府に対し望ましい政策を提示した上で、PRIとしても署名機関に対しファイナンスを促し、脱炭素化と投資リターンの両立を図る狙いがある。
今回の発表した政策提言は、PRIが2019年に発表した気候変動シナリオレポート「IPR」に基づきつつ、中国政府の文脈に合わせたものとなっている。
【参考】【国際】PRI、新たな気候変動シナリオレポート「IPR」発表。NPSを代替。投資家に参照呼びかけ(2019年9月17日)
まず全般的な政策としては、気候変動が中国経済・社会に及ぼすインパクトの分析を実施、開示することや、また2060年カーボンニュートラルまでの中間目標を含めたロードマップを提示するよう求めた。加えて、中国ではすでにキャップ・アンド・トレード型の二酸化炭素排出量取引制度(ETS)が大規模の導入されているが、キャップの産出量をカーボンニュートラルのロードマップと整合性を持たせるべきとした。さらに、発電や重工業に認めているETSの特別割当量についても是正を求めた。
次に、発電、工業、交通・輸送、不動産の4セクターについて、各々強化すべき政策ポイントを提示した。炭素回収・貯留(CCS)設備が付いていない石炭火力発電については、新設を禁止することを求めた上で、既存の発電所についても段階的に廃止するスケジュールを定めるようことを提言した。
交通・輸送では、2040年までにガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売禁止を導入することを提言した。不動産では、新築物件に対しては2025年までに熱エネルギーの省エネ基準を策定するよう提言。既存物件に対しては2050年までの省エネ修繕目標を定めるよう提言した。
【参照ページ】Delivering carbon neutrality in China
【ペーパー】DELIVERING CARBON NEUTRALITY IN CHINA
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら