中国の習近平国家主席は9月22日、国連総会の会合にオンラインで出席し、2060年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す新目標を発表した。中間目標として2030年までに二酸化炭素排出量をピークとし、以降は減少させることも同時に発表した。パリ協定の新目標として国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に提出する。
パリ協定批准後に中国政府が、UNFCCCに提出していた現行目標は「2030年までにGDP当たりの原単位排出量を2005年比60%から65%減」。今回2060年までの長期的な目標を提出し、中国として初めて原単位ではない総量としての目標を打ち出した。これにより、中国政府はGDP成長とともに排出総量は増加するという言い訳を自ら封じ、経済成長と二酸化炭素排出量を「アンバンドル」させる道を明確にした。
パリ協定か掲げる1.5℃目標に対し、各国からの国別削減目標(NDC)を積み上げても気温が3.4℃上昇してしまう状況。そのため、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、各国に対し目標の引き上げを要請していた。すでにEUを初め多くの国が自主的に目標を引き上げており、今回中国も長期的な目標値を明確にすることで、アントニオ・グテーレス事務総長の期待に応えた形。中国は、世界最大の二酸化炭素排出国だが、2019年に開催されたG20大阪サミットの中でも目標を引き上げると宣言していた。
今回の決定に先んじて、9月14日にオンライン開催されたEU・中国首脳会議でも、今回の決定の予兆はあった。同首脳会議には、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長、シャルル・ミシェル欧州理事会議長(EU大統領)、習近平・中国国家主席が参加し、EUから中国に対し、2060年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すよう要請があった。一方、ピークアウトの時期を2025年に前倒しにすることも要請していたが、これには中国政府は応じなかった結果となった。
中国が、カーボンニュートラルを宣言した背景には、中国が持つ再生可能エネルギーや電気自動車の先進技術が、今後追い風になり、中国の影響力を強められると考えた戦略があるとみられる。
日本はまだ、グテーレス事務総長が要請する目標の引き上げには応じていない。
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