米メリーランド大学の研究者らは8月17日、森林火災の発生頻度を分析した結果を発表。火災による森林の消失面積は、20年前と比較して約2倍となった。WRIがニュースで発信した。
今回の発表は、過去20年間の森林火災による世界の森林損失の状況について分析したもの。火災によって失われる森林面積は年間で、ベルギー領土面積とほぼ同等の300万ha増加していることがわかった。2021年は今世紀最悪の森林火災発生状況となっており、全世界で930万haの森林が消失した。
森林火災の増加の原因は気候変動。異常熱波は150年前と比較して5倍の頻度で発生しており、地球温暖化によりさらに頻度が高くなると予想されている。気温の上昇により地表が乾燥し、より大規模な森林火災を引き起こし二酸化炭素排出量が増加、気候変動が更に悪化するという循環が生まれる。さらに、森林地帯での農業などの活動の増加がこのサイクルを加速させている。
森林火災の影響を最も受けているのは北欧やロシアなどの寒帯地域であり、過去20年間の火災による森林消失の約70%を占めている。ロシアでは2021年に過去20年間で最も多い540万haの森林が火災により消失し、2020年と比較して31%増加した。寒帯地域は世界で最も炭素貯蔵されている地域の1つ。同地域の炭素は永久凍土を含む地下に貯蔵されているため、温暖化と火災により炭素排出量の増加が懸念されている。
熱帯林でも火災は増加しており、世界の火災による森林消失の15%を占める。新しい牧草地や農地を作るために野焼きを行う風習により森林火災が増加しており、熱帯地方で発生する森林火災の原因はほとんどが野焼きのような人為的なものであることが判明した。火災による森林消失は熱帯地方における森林消失の原因の10%未満だが、森林伐採や農地転換、地球温暖化、エルニーニョ現象により今後も火災が増加する傾向にあり、炭素排出が増加する可能性が高い。
森林火災を減らす方法としては長期的な取り組みが重要であるとした。気候変動の影響を減らすためにGHG排出量を大幅に削減し、熱帯地域での農地転換などの活動を制限する必要がある。今後も火災に関連するデータ収集と分析を続けるとした。
【参照ページ】New Data Confirms: Forest Fires Are Getting Worse
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