国連環境計画(UNEP)は11月20日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に先駆け、二酸化炭素排出量現状評価報告書「排出ギャップ報告書」の2023年版を発行した。現状の政府コミットメントレベルでは、2100年頃の世界気温は産業革命前から2.5℃から2.9℃上昇するペースと見通した。1.5℃目標と大幅に乖離していることが明らかとなった。
同報告書では、今後のシナリオを、現状政策シナリオ、非条件付き国別削減目標(NDC)シナリオ、条件付き国別削減目標(NDC)シナリオの3段階に加え、各国のカーボンニュートラル宣言を掛けわせた全5つのシナリオで今後の見通しを予測している。非条件付きNDCは、NDCの中で技術・資金支援がなかった場合として掲げられている目標、条件付きNDCは、技術・資金支援があった場合として掲げられている目標。
(出所)UENP
2100年頃の気温上昇は、統計上の信頼度66%で、現状政策シナリオで3.0℃上昇、非条件付きNDCで2.9℃上昇、条件付きNDCで2.5℃上昇の予測となった。一方、1.5℃目標の達成は現状のペースでは絶望的で、2℃目標に関してはシナリオ次第ではかろうじて可能性がある。
UNEPは今回、排出ギャップは縮小しているとも言及している。パリ協定の採択時には、現行政策に基づく2030年の排出量は16%増加すると予測されていたが、現時点では増加率は3%にとどまる見通し。9月25日時点で、2022年のCOP27以降、9カ国が新規または改定されたNDCを提出。NDCを改定した国は149カ国となった。
UNEPは、2030年までの排出量削減レベルをさらに引き上げなければならないと強調。1.5℃目標達成への努力は、2030年までのアクションにかかっているとした。2℃もしくは1.5℃のパスウェイのためには、2030年の排出量を28%から42%削減する必要があるとした。 COP28では、第1回グローバル・ストックテイク(GST)議論が行われ、各国は2025年までに、2035年目標を含めた次期NDCを提出することが求められる。
同報告書は、1.5℃や2℃目標の達成に際し、二酸化炭素除去(CDR)にも着目している。「土地ベースCDR」には主に森林関連の除去が、「新規CDR」では、BECCS(CCS付きバイオエネルギー)、バイオ炭、直接大気回収(DAC)等が含まれる。
(出所)UENP
日本政府の政策に関しては、二酸化炭素除去についての透明性が低いと指摘された。
(出所)UENP
【参照ページ】Nations must go further than current Paris pledges or face global warming of 2.5-2.9°C
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