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【台湾】蔡内閣、2025年までの脱原発、再生可能エネルギー20%を閣議決定。太陽光と洋上風力に投資 2016/11/07 最新ニュース

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 台湾の蔡英文内閣は10月20日、2025年までに原子力発電を廃止した上で再生可能エネルギーによる発電割合を20%にまで引き上げる政策を、行政院会議(閣議に相当)で決定した。台湾外交部(外務省に相当)のメディア「Taiwan Today」が10月21日報じた。さらに、この政策では、2025年までに現行の国営電力事業者である台湾電力公司を発送電分離し、発電会社と送配電会社に分割すること、これまで台湾電力公司が独占してきた発電事業を他の企業に許可し、再生可能エネルギー発電を分割後の発電会社に売電できるようにすること、再生可能エネルギー推進のために行政府に部署を新設することなども盛り込んでおり、台湾のエネルギー政策を大きく変える内容となっている。蔡内閣は今年末までに立法院(国会に相当)で法成立を目指す考えだ。

 台湾の再生可能エネルギー発電割合は現在4%。これを2025年までに25%までにいっきに引き上げる。カギを握るのは太陽光発電と洋上風力発電だ。とりわけ太陽光発電の拡大を急ぐ考えで、政府はこの分野に1.2兆台湾ドル(約4兆円)を投資し、2025年までに現在1GWしかない太陽光発電設備容量を20GWまで20倍に増やす。さらに現在、政府は洋上風力発電について研究を進めており、台湾東岸に巨大な洋上風力施設を建設していく考えを示した。組織体制としては、再生可能エネルギー推進のため、経済部の中に太陽光発電推進部局を、内閣の直下に温室効果ガス削減部局を設置する組織改革を法案に盛り込んだ。

 原子力発電政策についても大きく方向転換する。台湾では現在稼働中の原子力発電所は全部で3基。北部の第一原発で1基(604MW)、第二原発で1基(948MW)、南部の第三原発で1基(922MW)が稼働しており、2015年の原子力発電割合は14.1%。しかし福島第一原子力発電所事故以降、台湾の世論は原子力発電反対に傾き、前・馬英九国民党政権が推進していた第四原発(2基合計2,600MW)建設プロジェクトが建設途中に頓挫。今年5月に就任した蔡英文総統は、選挙活動中に脱原発政策を掲げた上で当選しており、今回の法案にも脱原発が盛り込まれることとなった。脱原発によって減少する14.1%の発電量は、再生可能エネルギー発電で代替していく。

 発送電分離などの電力制度改革は2段階に分けて実施していくという内容。第1段階では、まず発電事業を規制緩和し、これまで国営台湾電力が独占してきた発電事業をその他の企業に認め、太陽光発電を地域社会や企業が実施できる体制を築く。続いて第2段階では、段階的に発送電分離を進め、発電事業者が配送電会社に対し売電できる仕組みを整えるとともに、電力消費者も電力会社を選べるようにする。

 台湾は、全政権時代の昨年7月に「温室効果ガス削減及びマネジメント法」が成立しており、2050年までに2005年比で温室効果ガスを50%以上削減することを法律として定めている。台湾は太陽光発電やLEOの世界的な生産大国であり、蔡内閣は国内産業を活かし太陽光発電の導入とLEDへの切り替えによって、大幅に温室効果ガス削減を図りたい考えだ。現在3%しかないまた、政府はこれらの電力改革を行ったとしても電力の小売価格水準は変えない方針。

 国内資源に乏しい台湾は、大きく依存する発電量の80%弱を依存する火力発電原料と、原子力発電のための核燃料を全て輸入している。政府は原子力発電割合を下げ、再生可能エネルギー割合を高めることで、現在3%しかないエネルギー自給率を向上させることができるという利点も挙げている。

 島国の台湾は、日本と同じく、化石燃料発電と原子力発電に大きく依存してきた。さらに日本と違い国土の狭い台湾では水力発電も数%と日本より遥かに少ない。その中で、原子力発電を推進するのか、化石燃料に頼るのか、それとも再生可能エネルギーに活路を見出すのかという議論がここ数年、世論を巻き込んで繰り広げられてきた。日本が依然、原発再稼働と石炭火力発電新設に必死になり、再生可能エネルギーは電力価格が上がると忌避する中、お隣台湾のリーダーはついに、脱原発・再生可能エネルギー推進、電力価格据え置きという判断を下した。

【参照ページ】Taiwan moves toward opening renewable energy market
【参照ページ】Taiwan committed to 20 percent renewable energy target: VP

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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