【カナダ】オンタリオ裁判所がエクアドル先住民を支持しシェブロンに賠償命令 2014/01/21 最新ニュース

カナダのオンタリオ州高等裁判所は、エクアドルの土壌・水質・大気汚染に対する賠償請求で訴えられていたアメリカの石油会社・シェブロンに対して、原告であるエクアドル先住民グループへの95億ドルの支払いを命じた。シェブロンは、カナダ最高裁判所へ上告する見通しだが、今回の判決は多くの論点をはらんでおり、国際石油資本にとって非常に画期的なものとなった。

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シェブロンとエクアドル先住民グループの法廷闘争の発端は20年前にまで遡る。当初の被告はシェブロンではなく、同業のテキサコだった。テキサコは1964年に現地から撤収してから1992年まで、エクアドルのスクンビオスとオレリャナ州だけで7100万リットルの原油廃棄物と6400万リットルの原油を放出し、200万エーカーの土壌を汚染。エクアドル先住民グループは1993年に、テキサコの本社があったアメリカのニューヨーク地方裁判所に提訴し賠償請求を要求した。ニューヨーク地裁は審議の後、ニューヨーク地裁には適切な裁判管轄権がなく、管轄権はエクアドルの裁判所にあると判断し、法廷の場はエクアドルへと移された。エクアドルの裁判所で審議が続く中、テキサコは環境汚染の実態を確認し回復するための措置を取った。そして、1998年当時のエクアドル政府はテキサコとの間で合意を交わし、「テキサコは環境復元費用を支払ったとエクアドル政府が承認し、過去と未来のいかなる環境的責任も問わないと約束した」という文書に署名した。2001年シェブロンがテキサコを買収し、エクアドルでの裁判はテキサコからシェブロンへと引き継がれる。その後、2011年にエクアドル北東部のスクムビオス州地方裁判所はシェブロンに95億ドルの賠償と2週間以内の公式な謝罪と判決し、これを履行しなければ、2倍の賠償額を追徴すると明示した。シェブロンはこの判決を拒否し、テキサコはエクアドル政府との間で1998年に免責を獲得しているとして、エクアドル地方裁判所判決の履行差し止めを要求するためニューヨーク州地方裁判所へ提訴。2011年3月ニューヨーク州地裁は、シェブロンの訴えを認めて、エクアドル判決の履行差し止めを命令したが、同年9月ニューヨーク州控訴裁判所は一転、ニューヨーク州地裁の一審判決を棄却した。シェブロンが賠償支払と謝罪を拒否する状態が続く中、2012年エクアドル高等裁判所は、シェブロンに対して190億ドルの賠償支払を命令した。

話はまだまだ続く。シェブロンは再びエクアドル高裁判決を拒否し、さらに裁判所からの資産差し押さえを恐れ、シェブロンが保有するエクアドル国内の資産を海外へと移転させた。そして、シェブロンはハーグの国際仲裁裁判所にエクアドル政府を逆提訴した。シェブロンの言い分はこうだ。1993年にエクアドルと米国が締結した二国間投資協定(BIT)で定められている投資家保護をエクアドル政府は履行していないという。2013年9月、国際仲裁裁判所は、シェブロンがエクアドルでの環境破壊の集団訴訟の対象にはならないとの判断を下し、シェブロン側が勝利。しかし、今度はエクアドル政府が仲裁裁判所判決の受け入れを拒否。エクアドル政府側は、1998年のテキサコとエクアドル政府の合意では、エクアドル国民がテキサコを提訴することに関する規定はなく、さらにエクアドル政府は憲法上エクアドル司法の裁定に介入することはできないと主張。エクアドル高裁は、エクアドル最高裁判所に最終的な判定を預けた。2013年11月、エクアドル最高裁はシェブロンに対し95億ドルに減額しつつも賠償を命ずる判決を最終的に出した。しかし、シェブロンはこれを再び拒否。

エクアドル先住民原告側もただでは転ばない。エクアドル高裁判決後、賠償の履行を進めるため、シェブロンが資産を保有するカナダ、ブラジル、アルゼンチンの裁判所にシェブロンを提訴。そして、その結果が今回のニュースへとつながる。カナダ・オンタリオ高等裁判所は、シェブロンに対して95億ドルの賠償を命令し、エクアドル先住民側が勝利した。シェブロンはカナダ子会社を通じてカナダ国内に150億ドルの資産を有しており、賠償額には十分だが、カナダの高裁判決は、賠償執行の方法については明らかにしていない。

95億ドルの賠償額は、シェブロンの会社経営に痛恨のダメージを与えるほどの巨額だ。カナダ最高裁にもつれ込む可能性は高いが、シェブロンが賠償から逃れる可能性はさほど高くない。先住民のシェブロンに対する訴訟は、引き続きブラジル、アルゼンチン、さらにアメリカでも進み、コロンビア、ベネズエラでも追加訴訟される可能性があるという。今回の案件では、複数国の裁判所および国際仲裁裁判所を巻き込みつつ、国と国の二国間協定、国と政府の合意書名、免責の効果までもが争点となった。通常、資源開発会社は、資源地国との合意を拠り所として資源開発を行っている。その合意を拠り所としシェブロンは反論を続けたが、結果的にはそれが認められない状況だ。テキサコの環境汚染は20年以上も前の古い企業規範のもとで起こった悲劇かもしれないが、今回の教訓は現在にも生きている。環境や社会を考慮しない事業活動は、最終的に企業にとって遅かれ早かれ社会的正義を追及されることになり、大きなしっぺ返しを食らうことになる。

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