OECD(経済協力開発機構)は9月16日、税源浸食および租税回避のための利益移転に歯止めをかけるための国際的な課税ルールの設定を目指すBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食および利益移転)プロジェクトに基づき、多国籍企業らによる租税回避に対処するための国際協調体制に関する第1次提言を発表した。
OECDの事務総長を務めるAngel Gurría氏は今回の提言にあたり「G20諸国は、税源浸食および利益移転を世界における税収、主権、そして公平な税制に対する深刻なリスクだと認識している。我々の提言は、より有利な課税措置がある場所への人為的な利益移転を目的として、既存の税制の隙間や抜け道を見つけようとする企業の税務戦略に対し、国際的な合意に基づき協調した対応をとるための大事な要素となる」と語った。
OECDの取り組みは、G20諸国の要請を受けて2015年までに対処するべき15の重要な指針を定めたBEPS Action Planに基づいている。同プロジェクトは、新たな国内規制による二重課税や不当なコンプライアンス上の負担、合法的な国際取引に対する制限を回避しつつ、政府の税源を守り、納税者に対しより高い確実性と予見性を提供することを目指している。
なお、OECDが発表した行動計画の最初の7項目は、下記に焦点を置いている。
- ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメントの効果を低減するための新たなモデルの税法や条約の規定を通じ、国際レベルで法人税課税の一貫性を確保する。(Action2)
- 租税条約の濫用防止し、当初想定していた国際的な基準が生む利益の回復に向け、課税および関連事項を修正する。(Action6)
- 無形資産の主要分野における移転価格問題の対処に向けた行動を通じ、移転価格の結果と価値創造の整合性を実現する(Action8)
- 移転価格に関する文書の改善や国別報告のテンプレートを通じ、税務当局の透明性を改善し、納税者への確実性および予見性を高める。(Action13)
- デジタル経済における課題に対処する。(Action1)
- 二国間租税条約の修正に向けた多国間による文書策定の実現可能性についての報告を通じ、BEPS行動計画の円滑な遂行を促す。(Action15)
- 有害な税制慣行に対処する(Action5)
なお、これらの提言は、2015年に最終承認に向けてG20諸国に提示される予定となっているBEPS Action Planの残りの項目に関する決議によって影響を受ける可能性もあるとのことだ。更なる詳細については下記から参照可能。
【リリース原文】OECD releases first BEPS recommendations to G20 for international approach to combat tax avoidance by multinationals
【参考サイト】BEPS 2014 Deliverables
【団体サイト】OECD
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