世界で熱帯雨林保護のための包括的なサステナビリティポリシーを持っている大企業はダノン、花王、ネスレ、P&G、レキットベンキーザー、ユニリーバ、HSBCの7社だけ。そんな調査結果が明らかになった。
森林保護に取り組む英国のシンクタンク、グローバル・キャノピー・プログラム(以下、GCP)は2月11日、世界の企業や政府らによる森林保護への取り組み状況に関する調査結果、フォレスト500ランキングを公表した。同ランキングは250の民間企業、150の金融機関、50の政府、開発銀行などその他50の機関をサプライチェーンにおける森林破壊の根絶に向けた方針、取り組み状況に応じて5段階で評価、格付けするものだ。
これら500の機関は大豆、パーム油、牛肉、皮革、竹、木材、パルプ、紙といった森林リスクのある原材料のグローバルサプライチェーンを管理しており、これらの商品の流通総額は年間1000億USドルを超え、小売店に並ぶパッケージ 製品の半分以上を占めている。
GCPによると、現在のペースで森林保護に取り組んだ場合、「2020年までに森林伐採をゼロにする」という目標は実現できないことがわかったという。また、ダノンやP&G、ユニリーバなど7社は最高評価の5を獲得した一方で、とりわけアジア、中東地域の企業は低いスコアにとどまる結果となった。
同調査結果の主なポイントは下記の通り。
- 企業250社は全体としては2020年までに森林伐採ゼロという目標達成スピードに沿う方針を十分に掲げられていないものの、一部の企業は優れた進歩を見せている。
- 化粧品、パーソナルケアなど一般消費財の業界は優れた進捗を見せている一方で、動物飼料の業界は他業界に比べて対応が遅れている。
- 高い収益を挙げている企業ほど高いスコアを獲得していることが多く、特に年間売上が100億USドルを超える企業の場合、その傾向が顕著になる。
- 上場企業は非上場企業やそれ以外の組織と比較して、5割以上も高い評価を得ている。
- 北米に本拠を置く企業がもっとも高い評価を得ており、僅差でヨーロッパ、南米が続き、アジア太平洋は大きく遅れをとっている。
- 中国やインドなど、最も森林リスクの高い商品の輸入国に本拠を置く会社は平均より遥かに低い評価を受けている。最下位にランクしているのはロシアの企業。
CDPの調査によれば、約90%の企業は森林リスクのある原材料の調達をよりサステナブルな形に移行することに機会を見出しているとのことだが、今回の調査からは、まだまだ世界のサプライチェーン全体としては森林保護に対する取り組みに未だ多くの課題があることがよく分かる。同ランキングは下記からダウンロード可能。
【ランキングダウンロード】Forest 500
【団体サイト】Global Canopy Programme
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