投資家の間では未だにサステナビリティを重視した投資はリターンの犠牲を伴うという考えが根強いが、モルガン・スタンレーのサステナビリティ投資に関する研究所、Morgan Stanley Institute for Sustainable Investingは先日公表した報告書"Sustainable Reality"の中で、サステナビリティ投資は多くの場合財務パフォーマンスを犠牲にすることなく、むしろ従来の投資を上回るリターンを得ることができる、とする調査結果を明らかにした。
報告書の公表にあたり、Morgan Stanley Institute for Sustainable InvestingのCEOを務めるAudrey Choi氏は「我々は、サステナビリティ投資がグローバル課題解決に向けた民間資本活用のための重要な鍵となると信じているが、サステナビリティ投資は金銭的にトレードオフをもたらすという認識が未だに残っていることがこの分野の成長と開発を阻害している。我々は投資パフォーマンスに対する懸念に真正面から向き合ったが、サステナビリティ投資のパフォーマンスはとてもポジティブなものだった」と語った。
同レポートは10,228のオープンエンド型投資信託および2,874のSMA(Separately Managed Account)のパフォーマンスを過去7年以上に渡って分析したものだ。主なポイントは下記の通り。
- サステナビリティを考慮した株式投資信託は、期間内の64%において従来の株式投資信託の中央値と同等かそれ以上のリターンをもたらした。
- サステナビリティを考慮した株式投資信託は、期間内の64%において従来の株式投資信託と同等かそれ以下のボラティリティの低さを示した。
- 2008年~2014年の最大期間で見てみると、サステナビリティを考慮した株式投資信託は6つの異なる株式クラスのうち5つにおいて中央値と同等かそれ以上のリターンをもたらした。
- ESGで高い評価を受けた企業で構成されるMSCI KLD 400 Social Indexの長期の年利は、1990年初めから2014年の終わりまでの間でS&P500を0.45%上回った。
このような結果を受けて、Choi氏は「究極的には、サステナビリティ投資は単なる優れた投資手法なのだ」と語っている。
一方で、Morgan Stanley Institute for Sustainable Investingは今年2月に個人投資家に関する調査報報告書"Sustainable Signals"も公表しており、同報告書の中で、54%の個人投資家は未だにサステナビリティ投資が金銭的なトレードオフになると考えていることを明らかにしている。
同社の調査が示す通り、サステナビリティ投資はリターンとトレードオフにあるという誤解がなくなり、投資家の間で優れたリターンを期待する結果としてサステナビリティ投資を選択するという考えが一般的になることが期待される。
【レポートダウンロード】Sustainable Reality
【企業サイト】Institute for Sustainable Investing
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