コーヒー大手のネスプレッソは10月7日、初となる南スーダン産コーヒーの取り扱いを開始すると公表した。"SULUJA ti SOUTH SUDAN"(現地語で"Beginning of South Sudan"の意味)と名付けられたこのコーヒーは、同国にとって石油以外では初めての主要な輸出品となり、今後の経済発展に向けた大きな一歩となることが期待される。
コーヒー生産に関する高い専門性とサステナビリティ・イノベーションの掛け合わせの結果として生まれたこの新たなコーヒーは、ネスプレッソの掲げるCSV(Creating Shared Value:共通価値創造)のアプローチおよび、南スーダンのコーヒー農家を支援するという同社の現在進行中のコミットメントを反映したものだ。
もともと南スーダンはコーヒー栽培において長い歴史を持っていたが、度重なる内戦によりコーヒー産業の大部分が破壊されてしまっていた。このコーヒー産業を再建するべく、ネスプレッソ及びNPOのテクノサーブは南スーダンが独立した2011年以降、地元のコーヒー農家と協働して高品質なコーヒー生産の再開に向けて取り組んできた。
ネスプレッソは既にスーダンのイェイ地域におけるコーヒー産業の再建のために700万スイスフラン(約8500万円)を投資しており、今後数年で250万スイスフラン(約3億円)の投資を完了させ、2020年までに更に数千の農家へとプログラムを拡大していく計画だ。
SULUJA ti SOUTH SUDANは10月からごく少量限定でフランスのネスプレッソクラブ会員が最初に手にすることになるという。なお、ネスプレッソはこの取り組みは南スーダンのコーヒー産業の再建を支援するための長期投資であり、短期的な投資回収は期待していないとしている。
Nespresso AAA Sustainable Quality™ Program(ネスプレッソAAAサステナブル品質プログラム)のもとで、現在南スーダンにおけるネスプレッソの取り組みには現在約500の農家が関わっている。この取り組みは既に3つの新たなコーヒー共同組合の設立につながっており、流通やインフラの発展に貢献しているとのことだ。これらの取り組みによりコーヒー栽培が商業化することで、コーヒー農家およびその家族らにより多くの収入がもたらされ、最終的に国家の経済基盤の多様化につながることが期待されている。
長く続いた内戦を経て独立後、収入の多くを原油関連の輸出に頼っていた南スーダンにコーヒーという新たな産業をもたらし、国家の経済発展を支援するとともに地元農家の人々の生活向上も目指すネスプレッソの取り組みは、まさに事業を通じて社会的な価値を創造するという同社のCSV戦略を体現していると言える。
【参照リリース】Nespresso launches SULUJA ti SOUTH SUDAN, the first coffee exported from the country
【企業サイト】Nespresso
(※写真提供:Rob d / Shutterstock.com)
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