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【国際】採掘大手11社ら、気候変動により100億米ドルを喪失するリスク。CDP調査

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 企業に対して気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPは11月23日、合計時価総額3290億米ドルにのぼる鉱物・採掘業界の世界最大手11社らの気候変動対応状況についてまとめた調査報告書、"Making the grade: are some miners chasing fool’s gold?"を公表した。

 同調査はCDPのデータを用いて、英BHBビリトン、住友金属鉱山、米フリーポート・マクモラン、スイスのグレンコアら世界の鉱物・採掘大手11社の排出削減目標や水ストレス評価、新たな炭素排出規制に関する準備状況などを調査したものだ。これら11社だけで、最も炭素排出量が多い業界の一つでもある採掘業界の85%以上の炭素排出量を占めている。

 CDPは同調査の中で、大手11社らは適切なカーボンリスク・水リスク管理に失敗しており、新たな気候関連規制に対して消極的で、もし炭素価格が1トンあたり50米ドルとして設定されると、11社は利益総額の15%にあたる約100億米ドルを喪失するリスクにさらされると指摘した。

 調査の結果、Energy efficiency(エネルギー効率)、Water resilience(水レジリエンス)、Coal exposure(石炭露出)、Carbon cost exposure(炭素コスト露出)、Carbon regulation readiness(炭素規制対応)の5項目全てにおいてAないしB評価を獲得した企業は1社もなく、ブラジルのValeおよび住友金属鉱山の2社を除き、残り9社全てが少なくともいずれかの項目でD評価だった。

 また、有効な温室効果ガス排出削減目標を開示している企業は11社中6社しかなく、反対に新たな気候関連規制に反対している企業は11社中9社に上った。さらに、これらの企業の施設の約50%が、水ストレスが中・高程度の地域に存在していることも分かった。現状11社の約半数が石炭生産に関わっており、併せると世界の原料炭輸出の40%、燃料炭の27%を占めているという。

 CDPにて投資リサーチ責任者を務めるJames Magness氏は「この調査は投資家にとっての『炭鉱のカナリア』だ。(炭鉱で毒ガス検知にカナリアを使っていたことに由来)。現在3290億米ドル以上の時価総額を誇る世界最大の採掘企業ら低炭素経済への移行の準備ができていないことを示している。一部の企業ではエネルギー効率および水レジリエンスの分野において明確な進展が見られるものの、全体としてみれば全くもって不十分だ。最初の一歩として、全ての大手採掘企業は有意義な温室効果ガス排出削減目標を公表し、新たな気候関連規制を支持するべくより多くに取り組むべきだ」と語った。

 今、世界では大手銀行や年金基金らによる化石燃料からの投資引揚げが一大ムーブメントとなっている。既に世界の投資家が石炭への投資リスクを強く認識し、資金をよりクリーンな分野に移動し始めている中、採掘業界の企業らは1日も早い事業方針の転換が求められている。

【レポードダウンロード】Making the grade: are some miners chasing fool’s gold?
【参照リリース】Extractive sector struggles to make the grade: New report finds largest global miners failing to handle major climate risks
【団体サイト】CDP

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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