電化製品のエネルギー表示ラベルがEUの指令を遵守しているかをチェックし、製造・販売段階で改善を促す活動を進めているNPOのMarketWatchによる報告が、3月2日付の英紙ガーディアンに掲載されている。
MarketWatchはヨーロッパ16カ国の市民団体で構成されており、今回の報告ではヨーロッパ11カ国での3年間にわたる調査結果の一部が公表された。ネットを通じて購入された製品は、エネルギー表示ラベルに記載されている情報が不適正、あるいは情報の提供が全く行われていない場合が多かったという。
EUは、家電のエネルギー消費の縮小・効率化による家計への負担軽減、地球温暖化の原因であるCO2排出量の削減、エネルギー輸入量の低減を図るために、2010年にエネルギー表示ラベルに関する指令を制定した。(Ecodesign and Energy Labelling:Directive 2009/125/EC and Directive 2010/30/EU)。
同指令は、衣類乾燥機、エアコン、オーブン、キッチン(レンジ)フード、食器洗浄機、炊飯器、洗濯機、掃除機、電子レンジ、電球、冷蔵庫等、多くの家電が対象となっており、製品のラベルにはエネルギー消費量が少ないものからA+、 A++ 、A+++と記載される。
この表示が解りにくいとして以前のA-Gに戻すことが検討されているが、いずれにしても家電メーカーはエネルギー消費量に関する情報をラベル上に記載し、ネットを含む販売業者は、それを消費者の目につきやすいように展示・表示するよう定められている。
しかし、今回のMarketWatchによる調査では、11カ国においてネット経由で購入された製品の20%には表示ラベルがなく、1%には間違った情報が記載され、35%はスクロールしてもリンク先が見つけにくい形態での表示となっていることが分かった。ネットの場合は店頭に比べて製品の詳細を確認しにくく、画面上の限られた情報が選択する際の決め手となる場合が多いため、EUによる指令が遵守されないことの影響は大きい。
ガーディアン紙では英国に関する部分を抜粋している。世論調査によれば、現在、英国人の4分の3はネットで買い物をしており、家電製品についても3分の1以上はネット経由だという。しかし、昨年MarketWatchが実施した調査では、正しくラベル表示されている白物家電はネット上の4分の1に過ぎず、半数はエネルギーに関する情報が何も提供されていなかったという。
このような状況を受けて、同紙は、2020年までにヨーロッパで予測されているエネルギー削減のうち、10%が指令を遵守しない製品により損なわれる可能性があると述べている。これは中央および東ヨーロッパの家庭による電力消費量と同等だという。
今回の調査は151の実店舗と118のネット販売サイトで扱われていた15万点以上の製品に関して行われ、結果は加盟国の市場監視機関と共有されることになっている。エネルギー表示ラベルは、出費を抑えるだけでなく温室効果ガスの削減による環境改善に向けて極めて重要な手がかりとなるだけに、指令の遵守に向けた対策は今後もEUでのアジェンダになりそうだ。
【参照記事】Most electrical goods bought online have misleading energy labels, study finds
【参照サイト】Ecodesign and Energy Labelling:Directive 2009/125/EC and Directive 2010/30/EU
【団体サイト】Market Watch
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