国際基準規格を策定する世界的機関であるISO(国際標準化機構)は10月14日、腐敗防止分野を扱った新たな国際規格「ISO37001(反賄賂マネジメントシステム)」をリリースした。この国際規格は、腐敗防止に向けたマネジメントシステムに関する世界初の規格。企業などの機関が自身のオペレーションやサプライチェーン上で発生する可能性のある賄賂リスクを減らしていくのに役立つものとなる。同規格は、第三者審査によって認証を受ける認証規格として活用することができる。
長年、ビジネスにおいて賄賂行為は必要悪として捉えられてきた面もあるが、その一方で近年、賄賂が国、組織、そして個人にもたらすダメージの大きさも広く認識されてきた。実際にすでに多くの企業や機関が賄賂防止のための仕組みづくりに莫大な投資をしてきている。この流れを受けて誕生したのが今回の規格だ。ISO37001は、賄賂リスクを予防、また対応するためのマネジメントフレームワークを示し、組織は規格に対応することで潜在的な事業リスクに備えることが可能になる。この規格は、賄賂行為の行為主体が、自社従業員によるものかビジネスパートナーによるものかにかかわらず、効果的に賄賂行為を予防、発見、対処するために必要なアクション内容を定めている。具体的内容としてガイドラインに規定されているものは、
- 賄賂行為防止のポリシーと手順の策定
- 経営トップのリーダーシップ、コミットメント、明確な責任の所在
- コンプライアンスマネージャー等による監視
- 賄賂防止に関する社内教育
- プロジェクトやビジネスパートナーのリスク評価、デューデリジェンス
- ファイナンス、調達、販売、及び契約内容の管理
- 情報開示、監督、調査、評価のスキーム
- 継続的な改善活動
ISOはまた、賄賂リスクの内容は、組織毎に異なるという事情を踏まえ、ISO37001は国や規模、事業内容によらずあらゆるタイプの組織が利用できるように設計されている。また、規格の開発にあたり国際商工会議所(International Chamber of Commerce)や経済協力開発機構(OECD)、トランスペアレンシーインターナショナルなどの団体の助言も受けており、反賄賂について国際的なコンセンサスを反映した内容にもなっている。規格設計は、ISO/PC278委員会(議長は英国のBritish Standards Institution)が担当した。
もちろん、規格を取得するだけではこれまで、または今後贈賄行為が起こらないということを保証するわけではない。しかし、企業はISO37001を参照または認証取得することで、贈賄リスクの適切な管理にはつなげることができる。
【参照ページ】ISO publishes powerful new tool to combat bribery
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