小売世界大手ウォルマートのドグ・マクミランCEOは11月4日、同社の今後数年間のサステナビリティ目標とコミットメントを示すロードマップを発表した。ウォルマートは、世界最大の小売チェーンであるだけでなく、サステナビリティ戦略でも高い目標を設定しており、世界から注目されている企業。今回発表されたロードマップは、同社が2005年に設定した環境サスティナビリティーに向けての3つの長期目標に基づいている。3つの目標とは、事業運営での廃棄物ゼロ、100%再生可能エネルギーでの事業運営、環境・天然資源を持続可能とする商品の販売。今回発表の新ロードマップは今までの実績をさらに上回る内容となっている。
100%再生可能エネルギーでの事業運営
同社は現在、事業運営エネルギーの25%を再生可能エネルギーで調達しているが、これを2025年までに50%にまで引き上げる。また、同社は小売企業として初めて、科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量削減目標を設定する「Science Based Targets」イニシアチブに参加した企業でもあり、同イニシアチブから同社の削減計画の承認を受けている。同社はこの計画に基づき、2025年までに自社の二酸化炭素排出量を18%削減させるとともに、サプライヤーに対しても2030年までに1Gトンもの二酸化炭素排出量削減を要求していく。
事業運営での廃棄物ゼロ
同社は過去に設定した廃棄物削減目標をすでに達成しており、2015年時点では埋立処理場への廃棄物量を75%削減している。新たな目標では、2025年までに同社の主要マーケットである米国、英国、日本、カナダを含む地域で埋立処理場への廃棄物をゼロにする。さらに、その他のマーケットでも埋立処理場への廃棄物量を削減していく。
環境・天然資源を持続可能とする商品の販売
この分野での同社の取組分野はさらに「商品パッケージ」「商品販売」「調達」の3領域に分かれる。商品パッケージでは、2025年までに同社のPB(自社ブランド)商品全てでパッケージをリサイクル可能なものにする。
商品販売の分野では、米国内産品の販売を強化し、2025年までに米国内栽培・育成産品の販売を現状より2倍にまで上げる。さらに、サプライヤーと協働し、同社のPB商品で顧客が望まない商品については特定の合成着色料や人工香味料を使用を止める。
調達の分野では、バナナ、ぶどう、コーヒー、茶など20主要原材料でサステナビリティ調達をさらに推し進める。また、同社はすでにパーム油やアマゾン産牛肉の調達において、森林保全を伴わない生産者からの調達を拡大しているが、さらに今後はブラジル産大豆とPB製品の紙・パルプでも展開していく。
その他
その他ウォルマートは、従業員待遇などでも非難の声を浴びているためこの分野でも取組を広げていく。採用では、産業界とNGOの業界横断イニシアチブである「Leadership Group for Responsible Recruitment」に参加。新入社員のトレーニングは、米国政府の「White House First Jobs Compact」に署名し、小売業界で活躍していくための幅広い知識と経験を積み、転職力も含めた働く力を育成していく。その中で、ウォルマート米国は、アソシエイト級社員数百万人を対象にトレーニングプログラムを実施し、プログラム修了者には昇給をする。主任級社員25万人に対しては2017年までにアカデミー・トレーニング・プログラムを提供する。また、従業員が生活設計を容易にできるよう最低2週間前には勤務シフトを発表することを原則とし、また有給休暇消化を推進する取組も開始していく。同時に同一労働同一賃金を原則とした給与の公平性も改善していく。
さらにコミュニティ支援も展開していく。2020年までに飢餓に苦しむ人々に40億食の食事を寄付し、さらに5年間かけて世界中の災害被災者に2,500万食
を寄付する。
【参照ページ】Walmart Offers New Vision for the Company’s Role in Society
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