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【日本】経産省、ネガワット取引に関するハンドブック発行。取引概要やメリデメを解説 2017/01/19 最新ニュース

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 経済産業省は12月28日、今年4月1日からの運用開始を予定している「ネガワット取引」に関するハンドブックを発表した。ハンドブックには、ネガワット取引に関する基本概念や、具体的な取引の流れなどが絵などを交えて説明されている。

 ネガワット取引は、すでに欧米等で進行している新たな電力取引の概念。電力は現状蓄電が経済的に困難なため、需要量に応じて発電するというのが基本的な運用になっており、このように需要に応じて発電量を調整することを「ディマンドレスポンス」と言う。需要に応じて発電量をコントロールするということは、日中など電力需要が高い時間帯には当然発電量を増やす必要があるということ。そのため発電所などは電力需要が最大化する「ピーク時電力」の電力需要に応えられる発電設備能力が求められ、発電所の建設などが進んでいくことになる。そのため、発電所は常時フル稼働しているわけではなく、夜間などには休止していたり、発電量を減らしたりして、調整している。しかし、翻って考えると、このピーク時電力の抑制が実現できれば、発電設備そのものの必要性を削減することができ、発電所そのものを増加を抑制したり、むしろ減らしていくことも可能となる。このように需要の削減させることを「下げディマンドレスポンス(下げDR)」と言う。

 下げDRのために一般的によく知られているのが「節電」。電力需要を減らすために、エアコンの温度を調整したり、省エネ設備を導入したりする試みは以前から行われている。しかしこの節電は、実施するかしないかは電力需要家の判断や善意に委ねられており、下げDRの仕組みとしては確実性に欠ける。そこで、下げDRを、市場原理に基づいて仕組み化していくための取組が「ネガワット取引」だ。ネガワット取引は、一般の需要家(主に電力需要の大きい企業が念頭に置かれている)が、事前に取引業者と契約を結んでおき、ピーク時に節電をすることを契約によって義務付けるというもの。これだと需要家は義務だけ課せられてメリットがないように思えるが、ネガワット取引を契約している需要家はその節電量に応じて対価をもらうことができる。すなわち契約需要家が節電した分は他の需要家が消費することができる電力となるため、節電を発電とみなし節電した需要家に「発電」報酬を支払うというものだ。そのため、削減やマイナスを意味する「ネガ」という言葉と電力を意味する「ワット」を合わせて「ネガワット」という造語で呼ばれている。

 ネガワット取引には、電力需要に応じた節電量調整を契約需要家に命じ、それに応じて報酬を支払うための業者が必要となる。この業者のことを「アグリゲーター」と呼び、電力会社と需要家の仲介役を担う。電力会社自身がアグリゲーターと場合こともある。今回のハンドバックでは、アグリゲーターとの契約の概要や、アグリーゲーターとのやり取りの具体例などが記されており、ネガワット取引に興味のある需要家向けに交渉のアドバイスをするものとなっている。同時に、ネガワット取引を行うメリットや、業種ごとの注意点などにも触れられており、企業内で検討するに当たっての論点整理の助けにもなる。

 2016年4月に電力小売が全面自由化されたことを受け、新電力事業者の差別化のひとつとしてネガワット取引が活用されていくだろうという見方もある。ネガワット取引を可能とする法改正は、2015年6月に国会で可決成立し、ネガワット取引の施行期日を定める政令も2016年5月に閣議決定され、2017年4月1日に施行されることが決まっています。

【参照ページ】「ディマンドリスポンス(ネガワット取引)ハンドブック」を作成しました~スマートな節電を行うための入門書を公開いたします~
【ハンドブック】「ディマンドリスポンス(ネガワット取引)ハンドブック」

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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