【イギリス】政府の社会インパクト投資諮問グループ、答申書公表。市場活性化に向け提言 2017/11/24 最新ニュース

 英デジタル・文化・メディア・スポーツ省は11月14日、英国政府が2016年に設置した「社会インパクト投資文化の創造に関する諮問グループ(Advisory Group on Creating a Culture of Social Impact Investment)」の答申書「Growing a Culture of Social Impact Investing in the UK」を公表した。英国は社会インパクト投資の分野で世界をリードしているが、依然として社会インパクト投資に向かう資金は限られている。英国政府は、社会インパクト投資市場を活性化させるため同諮問グループを設置した。

【参考】【イギリス】政府諮問グループ、関係省庁に社会インパクト投資促進のための具体案を提言(2017年8月1日)

 諮問グループの議長はアリアンツ・グローバル・インベスターズのエリザベス・コーリー副会長が務め、委員には運用大手CEO、銀行大手、社会インパクト投資専業大手CEO、公的金融機関CIOが就いている。

社会インパクト投資文化の創造に関する諮問グループ委員

  • アリアンツ・グローバル・インベスターズ副会長
  • UBSアセット・マネジメントCEO
  • ハーミーズ・インベストメント・マネジメントCEO
  • スタンダード・ライフ・アバディーンCEO
  • バークレイズ投資部門CEO
  • ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズCEO
  • トリオドス銀行前会長
  • ヴァージン・マネーCEO
  • 国家雇用貯蓄信託(NEST)CIO
  • ロンドン市政府社会投資理事会理事長
  • Big Society Capital会長
  • Social Finance CEO
  • Bridges Fund Managementパートナー
  • Big Issue Invest CEO
  • Esmee Fairbairn Foundation CEO

 
 同答申書は、社会インパクト投資には、(1)市場並のリクス調整後財務リターンを求めるもの(2)リスク許容量の高いもの、(3)期待財務リターンが低いもの、の3つがあることを前提とし、社会インパクトそのものを追求するいわゆる「ソーシャルビジネス」と、事業活動の中で社会インパクトを考慮するもののの双方に対する投融資を社会インパクト投資と位置づけている。そのため、社会インパクトを測定、開示するだけでなく、事業活動そのものもポジティブインパクトをもたらすことを説明するよう求めている。その上で、社会インパクト投資文化の醸成に向け5つの提言をまとめた。

  • ディーフフローと投資規模拡大能力の向上:Co-investmentモデルの確立と企業活動における社会インパクト重視
  • 金融業界における能力と自信の強化:金融行為規制機構(FCA)、健全性監督機構(PRA)、年金規制機構(PR)、英国財務報告協議会(FRC)、金融オンブズマンサービス(FOS)等の金融規制当局が規制フレームワークに社会インパクトを考慮、CFA協会等の金融業界団体や金融機関の能力開発
  • 非財務情報開示の開発:英国投資協会(IA)や英国CFA協会等が、国連持続可能な開発目標(SDGs)等を考慮した社会インパクト投資手法を確立。英ビジネス・エネルギー・産業戦略省が英国財務報告協議会と協力しSDGs達成に向けた企業の情報透明性向上を推進。
  • 個人投資の障壁解消:政府、業界団体等による投資教育の実施。英国規格協会等による社会インパクト投資の標準規格化。金融機関による社会インパクト投資商品の拡充。
  • 気運の継続とイニシアチブ相互の連携強化:進捗状況の報告や表彰制度の創設

 日本ではESG投資と社会インパクト投資は別物として語られることが多いが、海外の金融業界ではESG投資の中に社会インパクト投資や環境インパクト投資を位置づけることが一般的になってきている。ESG投資の国際統計であるGSIRでもインパクト投資はESG投資の一つと位置づけられている。今回の答申書でも、運用資産残高が拡大するESG投資の動向に合わせ、社会インパクト投資もESG投資と同様に扱われてきたことが伺える。

【参照ページ】Growing a Culture of Social Impact Investing in the UK
【エグゼクティブ・サマリー】GROWING A CULTURE OF SOCIAL IMPACT INVESTING IN THE UK
【レポート】GROWING A CULTURE OF SOCIAL IMPACT INVESTING IN THE UK

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