米連邦最高裁判所は12月4日、トランプ大統領が今年9月に署名した入国禁止令について、訴訟審理中の期間の全面的執行を認めると判断した。連邦最高裁判事9人のうち7人が賛成、2人が反対した。同法を巡っては、カリフォルニア州やバージニア州の連邦控訴裁判所で審理が始まったばかり。連邦控訴裁での結審後も最終的に連邦最高裁に上告される可能性が高い。
係争中の入国禁止令は、ベネズエラ、北朝鮮、イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、チャドの8ヶ国の国民に対し米国への入国を禁止している。同法に反発する州は、ベネズエラ、北朝鮮を除くイラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、チャドの6カ国に対する入国禁止がイスラム教を狙い撃ちしているとして無効を訴えている。
入国禁止令は今年初頭から紆余曲折を経て現在に至っている。トランプ大統領はまず今年1月27日、大統領令(行政命令13769)を発し、イスラム教徒が多数を占める、イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、チャド、イラクの7カ国の国民の入国を90日間禁止し、難民受け入れを全面的に停止した。しかし反発する州政府が訴訟し、下級審では信教の自由に反するとして無効判断を下した。それに対しトランプ大統領は今年3月9日、新たな大統領令(行政命令13780)に署名。入国禁止対象からイラク国民、二重国籍者、永住権(グリーンカード)保持者を外し、シリア難民への無期限禁止を取り下げ、批判を交わそうとした。第2回大統領令も下級審では無効判決が出たが、今年6月連邦最高裁判所は、6ヶ国の国民の90日間の入国禁止と、難民受入の12日間の全面禁止を容認し、連邦政府が勝利した。
そして第3回の大統領令は、行政命令ではなく、「布告9645」という形で今年9月24日に発令。イスラム教差別との批判を避けるため、対象国を北朝鮮とベネズエラを加えた8カ国とした。これもすぐに裁判が始まり、下級審では北朝鮮とベネズエラの国民の入国禁止措置は認められたが、今回最高裁判所で、判決確定までの間、同令の有効性が確認された。
このように入国禁止令裁判では、「安全保障措置」と「宗教差別」「国籍差別」が論点となっている。現在、本裁判は連邦控訴審段階だが、今回の判断を受け、最終的に連邦最高裁に持ち込まれた場合も、トランプ大統領側が勝利するとの見方が強くなっている。
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