国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは2月27日、世界の各都市自治体の再生可能エネルギー利用状況を発表した。CDPは、各自治体から気候変動対応に関する情報開示を自主的に求めている。2017年の報告では世界570以上の自治体がCDPに報告した。日本での報告自治体は、東京都、横浜市、名古屋市、広島市の4自治体。
今回の発表では、各自治体域内での消費電力に占める再生可能エネルギー利用割合データを公表した。自治体の再生可能エネルギー利用割合については、自治体自身の運営での消費電力と、企業や家庭も含めた域内全体での消費電力の2つの概念があるが、今回は後者。域内全体の消費電力が70%以上再生可能エネルギーの自治体がすでに102あり、2015年調査時の40から2倍以上に増えていることがわかった。再生可能エネルギーには、大型水力発電も含まれている。
域内全域100%再生可能エネルギーの主要都市
- シアトル(米国)
- バンクーバー(カナダ)
- モントリオール(カナダ)
- ウィニペグ(カナダ)
- ストックホルム(スウェーデン)
- オスロ(ノルウェー)
- レイキャビク(アイスランド)
- バーゼル(スイス)
- ローザンヌ(スイス)
- ポルト(ポルトガル)
- ホバート(オーストラリア)
- オークランド(ニュージーランド)
- ウェリントン(ニュージーランド)
- ブラジリア(ブラジル)
- クリチバ(ブラジル)
- サントス(ブラジル)
- サルバドール(ブラジル)
- アスンシオン(パラグアイ)
- キト(エクアドル)
- ボゴタ(コロンビア)
- ナイロビ(ケニア)
- ダルエスサラーム(タンザニア)
すでに100%再生可能エネルギー化を達成している都市には、米バーモント州バーリントン、アイスランドのレイキャビク、スイスのバーゼル等がある。バーリントンは風力、太陽光、水力、バイオマスから電力を調達しており、都市全体に渡ってグリッドシステムが整備されている。2014年9月には水力発電所「Winooski One」を自治体が買収することも決定した。また、アイスランドは国全体の地熱発電割合が高く、スイスやブラジルは国全体の水力発電割合が高いことも自治体の取組を推進する要因となっている。その中でもスイスは、2017年5月に脱原発の国民投票で可決され物議を醸したが、バーゼル市は率先して脱原発も達成した。
100%再生可能エネルギー目標を掲げる自治体も増えてきている。英国では自治体ネットワーク「UK100」が2050年までの100%を目指し、すでに80自治体が加盟。その中にはマンチェスター、バーミンガム、ニューキャッスル、グラスゴー、ロンドン内16区も含まれている。米国でも58自治体が将来100%にする目標を宣言済み。こちらでもアトランタ、サンディエゴ等の大都市が含まれる。
現在世界では、150の再生可能エネルギー導入プロジェクトが進行中で、その額は23億米ドルに上る。公共交通機関の電動化やエネルギー効率改善といったクリーン・インフラ関連プロジェクト全体では数は1000以上、520億米ドル以上となる。
【参照ページ】Over 100 global cities get majority of electricity from renewables
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