グリーンボンド・ガイドライン策定の国際NGOの英CBI(気候債券イニシアチブ)は4月23日、国別発行額第3位のフランスでのグリーンボンド発行事情をまとめた報告書を発表した。
2017年の国別グリーンボンド発行額は、米国424億米ドル(約4.6兆円)、中国225億米ドル(約2.5兆米ドル)に次ぎ、フランスが221億米ドル(約2.4兆米ドル)で第3位。フランスの機関による初めてのグリーンボンド発行は2012年、過去累計では377億ユーロ(約5兆円)に達する。他の欧州諸国の累計発行額は、ドイツ228億ユーロ、スウェーデン105億ユーロ、スペイン88億ユーロ、イタリア51億ユーロ、ノルウェー38億ユーロ、英国31億ユーロで、欧州の中でもフランスが突出していることがわかる。
フランスでの2017年の発行体は、フランス政府97億ユーロ、不動産投資信託(REIT)委託Icade6億ユーロ、預金供託金庫(CDC)5億ユーロ、パリ交通公団(RATP)5億ユーロ、不動産大手Ivanhoé CambridgeとNatixis Assurancesの共同発行が4.8億ユーロ。話題を呼んだフランス政府のグリーンボンド国債以外では、不動産や交通分野を使途とするグリーンボンドが多かった。また、過去には電気ガス大手エンジーが62億ユーロ、フランス電力(EDF)が45億ユーロ、クレディ・アグリコルの投資銀行子会社クレディ・アグリコルCIBが44億ユーロ、鉄道大手SNCF Réseauが26億ユーロ、不動産投資信託委託ユニボール・ロダムコが14億ユーロを発行。地方政府でも、イル=ド=フランス地域圏政府の15億ユーロ発行を含め、すでに4自治体がグリーンボンドを発行しており、さらに25自治体が発行を検討している。
フランスでグリーンボンド発行が進む背景についても分析。まず、2015年に制定されたエネルギー転換法が、金融市場での気候変動リスクの関心を高めたと指摘。さらにEUレベルでも欧州企業年金(IORP)II指令が2016年に制定され、企業年金基金に気候変動リスク把握を求め始めたことが大きいとした。実際に、仏運用大手はグリーンボンド購入の関心が非常に高い。また、フランス政府が570億ユーロ(約7.6兆円)にも及ぶ5年間の「Big Investment Plan」を掲げ、そのうち200億ユーロをエネルギー転換に配分したことも市場を後押ししていると評価した。
英国ではイングランド銀行が金融市場における気候変動リスクの監視を強化しつつあるが、同様にフランス銀行も気候変動に関する金融リスクの評価を開始。EUのHLEGにも規制強化の提言を行っている。パリ市も、グリーンファイナンスの世界の中心となるべく、グリーンファイナンス発展に向けたアクションを積極化している。
CBIは、フランスでの債券発行体のうち、グリーンボンド未発行のところが依然として多いとし、今後も成長ポテンシャルが著しく高いと見立てた。
【参照ページ】New Report: France: Green Bond Market - Driving Green Finance Development
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら