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【イギリス】英与野党、海外領土のタックスヘイブンに税透明化規制適用で合意

 英国与野党は5月1日、英国の制裁・マネーロンダリング法案を修正し、英国の海外領土にも実質受益者登録の義務を課す税透明化規制を適用することで合意した。英国の海外領土は、英国領度だが高度な自治権が認められている地域。有名なところでは、ケイマン諸島、英領バージン諸島、バミューダ諸島等があり、英国の規制が適用されないものが多く、タックスヘイブンとして活用されることが多い。今回、同法案が成立すると、2020年12月31日までに施行され、タックスヘイブンの秘密性が大幅に薄まることになる。

 今回の法案は、労働党のマーガレット・ホッジ下院議員が提起。他の議員から多くの賛同を得、今回の合意に至った。実質受益者とは、有価証券やファンドの受益権の法定名義人ではなく、実質的に権益を得る人のこと。投資信託や投資顧問契約では、法的に信託保全の義務が課せられることが多く、必然的に実質受益者が特定されにくい構造になっている。タックスヘイブン問題への関心から、海外では実質受益者の特定と開示を義務化するルールが導入されてきている。

 英国の海外領土は、領土が小さく産業に乏しいことから、ファンドを含むペーパーカンパニーを呼び寄せることで経済発展してきた経緯がある。今回の法案に対し、規制が適用される海外領土の自治政府は反発。英領バージン諸島のオーランド・スミス首相は、「大いなるインチキ政策だ」と非難。しかし、英外務・連邦省も今回の法案を支持する構え。

 海外領土には他に、アンギラ、ジブラルタル、モントセラト、タークス・カイコス諸島等がある。一方、英国議会の権限が及ばない英国の王室属領であるマン島、ジャージー代官管轄区、ガーンジー代官管轄区には今回の法案は適用されない。マン島もタックスヘイブンで有名な地域。

【法案】Sanctions and Anti-Money Laundering Bill [HL] 2017-19

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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