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【アメリカ】ロサンゼルス市当局、フーバーダムを再エネ用揚水発電バッテリーにする検討開始

 ロサンゼルス市水道電力局が、全米最大級水力発電ダム「フーバーダム」を再生可能エネルギーの蓄電池とする検討を行っていることが明らかとなった。米紙ニューヨーク・タイムズが7月24日報じた。日本にある約2,500基のダムの総貯水量は250億tなのに対し、フーバーダムの貯水量は最大約400億tで桁外れ。実現すれば巨大な揚水発電バッテリーとなる。総工費は30億米ドル。

 フーバーダム水力発電所には、17基のタービンが設置されれており、発電設備容量は2.08GW。原子力発電所に匹敵する。発電された電気は、ネバダ州、アリゾナ州、カリフォルニア州南部に送電され、地域に電力の大きな柱となっている。同発電所は現在、米内務省水利再生利用局が管理しているが、竣工した1936年から1987年まではロサンゼルス市水道電力局と米国サザンカリフォルニアエジソン社が管理していた。

 ロサンゼルス市は2016年から市域電力を100%再生可能エネルギーで賄う構想に着手しており、2018年3月7日分析を委託されていた企業は、2030年までに実現可能との報告書を発表した。一方、再生可能エネルギー電力は、天候等により発電量にばらつきが出るため蓄電設備が備わっていなければ、電力供給を安定化させることが難しい。そこからフーバーダムに揚水発電設備を導入し、蓄電池として活用する構想が生まれた。

 揚水発電は、通常の発電タービンを逆回転させ上流に水を送り込むこともあるが、今回検討されている手法はダムから32km下流の地域にポンプを設置し、パイプラインを通してダムの上流に水を戻すというもの。現在、フーバーダムは下流への影響等を考慮し、最大出力の20%しか稼働させておらず、発電量を増やすことは可能。リチウム電池で蓄電させる手法だと26セント/kWhなのに対し、揚水発電は15セント/kWhに抑えられ、家庭用電力の一般的なコスト12.5セント/kWhに大きく近づけられる。

 ロサンゼルス市水道電力局は、2028年にはポンプの設置を完成させたい考えで、現在フーバーダムを管理している内務省水利再生利用局で審議が行われている。同局の許可であれば、次に米内務省国立公園局での審査に入る。国立公園局はすでに、パイプラインを地下に敷設し景観と生態系を損ねないようにする注文を出している。

【参考ページ】The $3 Billion Plan to Turn Hoover Dam Into a Giant Battery

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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