サステナビリティ報告国際ガイドライン策定GRIは12月13日、GRIスタンダードについて、「税と政府支払」に関する新たなスタンダード新設案を発表した。2019年3月15日までパブリックコメントを募集する。GRIは1月から同分野のスタンダード案策定に着手していた。
今回公表された「税と政府支払」スタンダード案は全部で5つの開示事項で構成。税務戦略やアプローチ、税務に関するガバナンス・リスクマネジメント、ステークホルダー・エンゲージメントのあり方、該当法域と法域毎の企業情報、法域毎の売上、利益、納税額等が盛り込まれた。
今回のスタンダード策定は、租税の透明性に関しては、国際機関、NGO、機関投資家の間で高まる関心を受けてもの。特に、国毎の納税額や政府支払額を報告よう求める声が強まっている。目下、世界的に企業は、法令義務が求める最小限の納税に関する情報しか開示していない。RobecoSAMの調査によると、調査した830社のうち17%しか国別の納税額を開示しておらず、その17%のうちのほとんどが1ヶ国でしか事業を行っていない企業だった。
これに対し、経済協力開発機構(OECD)とG20は、2012年6月に税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトを開始し、2013年7月19日に「BEPS行動計画」を策定。2014年9月16日には第一次提言を公表し、2015年10月5日には「OECD・BEPS最終パッケージ」をまとめ15の行動に関する最終提言を提示した。BEPS行動計画は、これまでに94カ国が受入を表明し、今後世界約1万社がBEPSの法制化の影響を受けると言われている。
EUでは2015年から同規定に関するEU指令案の審議が開始されている。すでにEUは金融機関に対しては第4次自己資本規制(CRD IV)の中で先行して義務化している。他にも、資源採掘企業に対しては、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)基準が策定され、51ヶ国が支持を表明している。CRD IVもEITI基準も、「OECD・BEPS最終パッケージ」が求める基準よりは緩い。
同スタンダードの策定委員は、国連責任投資原則(PRI)、英ボーダフォン、米MFS Investment Management、英Tax Justice Network、仏Public Services International、蘭Tax Policy Group、英シティ大学の7機関で構成されている。
【参照ページ】New GRI draft Standard on Tax and Payments to Governments now open for public comment
【スタンダード案】Exposure draft of GRI topic-specific Standard: Tax and Payments to Governments
【委員会】DISCLOSURES ON TAX AND PAYMENTS TO GOVERNMENT
【イニシアチブ】EITI
【プロジェクト】BEPSプロジェクト
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