欧州議会と加盟国閣僚級のEU理事会は1月24日、親や介護者のワークライフバランス推進のため、両親や介護者に関する休暇制度のEU指令案で暫定合意した。同ルールは、2017年4月に欧州委員会が提案し、1年半をかけてついに下院の欧州議会と上院のEU理事会が妥結点に至った。今後、正式なEU指令の立法手続きに入る。
新ルールでは、子供が生まれた男性は、10日間以上の育児休暇を取得できる権利を得る。これにより、母親に集中しがちな育児負担を父親が同様に負担できるようにする。また、正式な結婚前の異性パートナーでの子供や、同性パートナー間の子供の男性親についても同様の権利を保護する。EUでは、すでに、2010年育児休暇指令で両親にそれぞれ2カ月間の有給の育児休暇取得権利が認められているが、今回男性親に関する規定を強化する。
また、介護休暇では、同EU指令の中で定義する「親族」の看護や介護のために毎年一定期間の休暇が取得できる権利を定める。取得期間については未定。一方、従業員による休暇取得濫用を防ぐため、医療機関の診断書等を雇用主に提示することも規定する。これにより、退職とせずとも、親族のケアができるようにする。休暇取得による最低賃金の考え方も法制化の中で定める。
加えて、2010年育児休暇指令で定めていた「不可抗力条項」を強化。不測の事態に休暇取得できるようにする規定を、両親や介護者だけでなく、幅広く親族にも適用し、家族全体で育児や介護ができる体制を整える。
育児休暇からの復帰に関する規定も強化する。2010年育児休暇指令では、育休復帰者に関し、労働形態または労働時間の2つの方法のいずれかもしくは両方で柔軟な勤務を認めるよう規定しているが、第3の選択肢としてリモートワークも追加する。さらに、産後すぐだけでなく、子供が12歳になるまでの全ての親や高齢者介護者にも同様の権利を認める。
一方、今回の育児休暇や介護休暇を要因とする従業員差別の禁止も盛り込む。上記の休暇制度違反や差別行為があった場合の罰則も定める。
【参照ページ】Work-Life Balance: Commission welcomes the provisional agreement reached today
【法案】DIRECTIVE on work-life balance for parents and carers
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