パーム油認証機関RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)は2月28日、インドネシア・パーム油大手PT Salim Ivomas Pratama Tbk(SIMP)と同子会社PT Perusahaan Perkebunan London Sumatra Indonesia(Lonsum)の会員資格を終了したと発表した。両社は、RSPO認証を使用できなくなる。Lonsum側は1月17日、RSPOからの要求を不服として、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)からの脱退をRSPOに通知していた。
【参考】【インドネシア】インドフード子会社Lonsum、RSPOからの脱退表明。RAN等、取引停止呼びかけ(2019年2月1日)
RSPOの苦情処理パネルは2018年11月2日、SIMPがRSPOが規定する環境・社会基準を遵守していないとして、SIMPに是正を指示。特に強制労働や児童労働への関与が指摘されている。2月4日には、会員資格終了に向けた最後勧告を出し、2月8日までに遵守を約束する実行計画の提出を指示。しかし提出されなかったことから、苦情処理パネルは、SIMPTとLonsumの会員資格終了を決定した。
今回の脱退表明を受け、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、「メガバンクが制定した方針を実行するための試金石となる」コメントを発表した。SIMPはRSPOで4番目に大きい会員企業で、インドネシア最大の食品会社及び世界最大の即席麺企業としても知られるインドフードのパーム油部門。インドフードには、日本のメガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から長期にわたって多額の融資を受けているという。特にSMBCについては、「SMBCの方針は『人権侵害が行われている可能性の高い融資を禁止』し、『RSPO、或いはそれに準ずる認証機関の認証を受けている(略)パーム油農園開発を支援します』と明確に定めてい」るとし、このまま融資を継続すれば自社融資方針に抵触する可能性があるとの見方を示した。
RANの発表によると、インドフードに対しては、2018年11月の決定前から、ネスレ、ムシムマス、カーギル、ハーシー、ケロッグ、ゼネラル・ミルズ、ユニリーバ、マース、不二製油等が取引を停止。一方、インドフードの合弁パートナーであるペプシコ、ウィルマー・インターナショナル、ヤム・ブランズ等は取引を続けている模様。今回のRSPO会員資格終了措置を受け、ペプシコ等の判断にも注目が集まる。
【参照ページ】RSPO SECRETARIAT’S STATEMENT ON COMPLAINTS PANEL DECISION REGARDING PT SALIM IVOMAS PRATAMA TBK
【参照ページ】プレスリリース: 3メガ融資先 インドネシア食品大手「インドフード」のパーム油部門 労働権侵害でRSPO認証停止 (2019/3/6)
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