環境省外局の原子力規制委員会は4月24日、原子力発電所の新規制基準で設置が義務付けられているテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、「原子炉の工事計画の認可から5年以内に設置を完了する」とした期限の延長を認めないことを決定した。関西電力、四国電力、九州電力の3社は4月17日、期限に間に合わないと報告していたが、同委員会は期限延長にNoを突きつけた。
今回の決定により、関西電力、四国電力、九州電力の3社では、合計6原子力発電所で計12基が期限を約1年から2年半超過する見込み。すでに再稼働している原子力発電所5ヶ所の計9基は、間に合わなければ強制的に運転停止となる。最早く期限が迫るのは、九州電力の川内原子力発電所第1号機で2020年3月。同第2号機も2020年5月が期限。設置が完了すれば、再稼働が認められる。
特重施設とは、大型航空機の衝突等のテロ攻撃にあっても必要な機能が損なわれず、原子炉格納容器の破損も防ぐことができる防御施設。期限については、新規制基準設定当初は、新規制基準が施行された2013年7月から5年としていたが、原子力発電所の再稼働に向けた適合性審査が長期化していることを踏まえ、2015年に「本体工事認可日を起点として一律5年」に変更。事実上延長されていた。
しかし今回、同委員会の更田豊志委員長は「差し迫った状況で当局に訴えれば、なんとかなると思ったのだとしたら大間違いだ」と期限延長をしないことを語り、電力会社を批判。電力会社側は4月17日に「見通しが甘かった」と述べていた。
【参照ページ】第5回原子力規制委員会
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