保険世界大手米メットライフは4月22日、同社のESG投資運用額が2018年末の時点で526億米ドル(約5.9兆円)にまで上昇したことを明らかにした。投資運用残高全体にしめる割合は8%。米系保険会社は、欧州に比べESG投資に対する姿勢が消極的だったが、メットライフはESG投資を後押ししつつあることがわかった。
メットライフは従来、同分野についての情報開示では「インパクト投資」の単語を用いており、インパクト投資推進の国際イニシアチブGlobal Impact Investing Network(GIIN)にも新たに加盟。しかし、GIINが「インパクト投資」の定義を厳しくしたことに伴い、2018年度報告からはESG投資や責任投資という言葉に切り替えた。
同社が公表しているESG投資額は、アセットオーナーとしての同社ではなく、同社運用子会社メットライフ・インベストメント・マネジメント(MIM)での運用額。アセットクラスでは、オルタナティブ投資運用が多くを占める。まず、空港、港湾、道路、発電、送配電、パイプライン等のインフラ投資が171億米ドル(約1.9兆円)。また、社会的弱者向けの医療機関や医療支援を行うNGO等の投資も、このESGインフラ投資に含まれる。同社はこれらを「ESG投資」とする理由については、雇用創出効果や経済成長効果があるとしている。
続いて、グリーンビルディングや再生可能エネルギー発電所への不動産投資が166億米ドル(約1.8兆円)。そして、地方自治体の社会プログラムを支援するための地方債へ投資が163億米ドル(約1.8兆円)。また、低所得者層向けの住宅分野にも26億米ドル(約2,900億円)投資している。また、MIMはついに2019年、国連責任投資原則(PRI)にも署名。組織横断の社内組織「ESGインテグレーション会議」も設立した。
同社自身のアクションとしては、2019年に取締役会長とCEOを分離するとともに、統合リスク委員会(ERC)が全てのマテリアルなリスクを所管するよう機能拡大を果たした。
従業員向けでは、最低賃金の自主基準を引き上げるとともに、生命保険の福利厚生でも全従業員に対象を拡大した。また、従業員の将来スキル開発のため自社の「Workforce of the Future Development Fund」に1,000万米ドルを投資。同時に、自主学習プラットフォームのカリキュラムもアップデートした。
【参照ページ】METLIFE RELEASES ANNUAL SUSTAINABILITY REPORT
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