G20に設置されている「金融包摂のためのグローバルパートナーシップ(GPFI)」は6月6日、高齢化社会に対して重要となる金融インクルージョンの観点をまとめた「高齢化と金融包摂のためのG20福岡ポリシー・プライオリティ」を承認した。GPIFと経済協力開発機構(OECD)が議長国・日本のために作成した。
高齢者に対する金融インクルージョンは、高齢とともに年金等の資金管理という金融リテラシーが求められる一方、発展途上国を中心に高齢者が金融サービスにアクセスしづらいという課題感や、高齢者が金融サービスから排除されやすいという問題から発生してきた概念。今回の文書でも、高齢者が金融排除されやすい上位10要因として「デジタル能力の低さ」「金融リテラシーの低さ」「認知能力の衰え」「身体能力の衰え」「社会的孤立」「年金や年金保険に依存した生活」「家族への依存」「お金に対する助言へのアクセスが困難」「高齢者のための金融商品の不足」「金融の専門家への依存」を挙げた。
これに対し今回、対処すべき優先項目として8つを定めた。
- データとエビデンスを活用しよう
- デジタルと金融リテラシーを強化しよう
- 生涯にわたるフィナンシャルプラニングをサポートしよう
- カスタマイズしようー高齢者の多様なニーズへの対応
- イノベーションを進めようー包摂的なテクノロジーの活用
- 高齢者を守ろうー高齢者への経済的虐待や詐欺への対応
- みんなで連携しようー分野横断のアプローチ
- 特に重要となる対象ー脆弱性への対応
日本でも、フィデリティ退職・投資教育研究所が2016年に発表したデータによると、金融詐欺被害にあった高齢者は4.6%。詐欺的投資勧誘が58.7%と大半を占め、「金融リテラシーの自信過剰が金融詐欺につながった懸念」があるという。最近、世界的に「金融ジェロントロジー」という単語も浸透しつつある。日本証券業協会も「高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン」を策定している。
【参照ページ】「高齢化と金融包摂のためのG20福岡ポリシー・プライオリティ」について
【参照ページ】高齢者の金融リテラシー
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