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【日本】経産省、CCUSの一環でカーボンリサイクルの技術ロードマップ策定。コスト削減が最大の壁

 経済産業省は6月7日、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)技術の中で、回収した炭素を加工し、鉱物化や人工光合成、メタネーションによる素材や燃料として利用する「カーボンリサイクル」の技術ロードマップを策定した。日本政府は、二酸化炭素排出量削減の大きな柱として、CCUSを位置づけており、カーボンリサイクルはCCUSがコスト競争力を持つかどうかの壁となる。

 カーボンリサイクルについては、現在技術面では学術的に複数の手法が可能性として見出されている。例えば、メタンガスを一酸化炭素と水素の合成ガスに加工した上でエタノールやメタノールを生成し化学品や燃料として用いる技術や、コンクリートを構成するセメントや骨材に二酸化炭素を原料とした炭酸塩(CaCO3)を用いる技術等がある。しかし、現時点で考えられている技術は、いずれもコストが高すぎて、商用化できない。

 さらに今回、経済産業省は、大気中や化石燃料の燃焼中に分離した二酸化炭素のCCUS以外にも、セルロースや石炭灰等の他の炭素関連材料に含まれる炭素を活用する技術も、まとめて「カーボンリサイクル」と呼んでいる。そのため、バイオマスや藻類由来のジェット燃料やバイオ燃料も、今回の技術ロードマップに含めた。

 だが、多くのカーボンリサイクル技術は、化学反応過程で水素が必要となり、水素製造のコスト削減が欠かせない。さらに、水素生成過程で二酸化炭素を発生させてしまっては、本末転倒のため、生成過程で二酸化炭素を発生させない水素が必要となる。また、炭素そのものを得るための炭素回収・貯蔵(CCU)技術のコスト削減も不可欠。

 今回のロードマップでは、2030年までに、安価な水素を必要としない技術や、早期に実現が可能な技術として、ポリカーボネート等の化学品生成、バイオジェット燃料等の液体燃料、二酸化炭素を内部に固定化するコンクリート製品の開発に勤しむ。それ以外の技術は2050年以降をターゲットとする。

 パリ協定での目標では、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにしなければならない。2050年以降の技術は、パリ協定の目標達成の前提にはできないことに留意が必要だ。また、日本政府は、二酸化炭素排出量削減のために石炭火力発電にCCUSやCCS技術を組み合わせて発電する戦略を重視しているが、CCUSのコスト削減のためには、安価な水素を得るため二酸化炭素排出量がゼロの電力が必要となることが明らかとなった。

【参照ページ】「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定しました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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