国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)とフォード財団が運営する鉱業人権イニシアチブ「Transition Minerals Tracker」は9月5日、銅、リチウム、コバルト、亜鉛、マンガン、ニッケルを採掘する大手企業の人権リスクを評価したレポートを発表した。多くの企業で、2010年から2019年5月までに1件以上の人権苦情申立が確認された。
Transition Minerals Trackerは、鉱物の中でも、今後需要が伸びると思われる太陽光発電パネル、風力発電タービン、電気自動車(EV)バッテリーの原料となる上記6種類に着目。人権侵害の状況をウォッチしている。今回のその中で、各資源の採掘大手5社について、人権ポリシーの策定状況等や、人権苦情申立の件数を集計した。但し、苦情申立件数については、データソースが限られているとし、数値そのものは参考程度として扱うよう留意を促している。
例えば、コバルトでは、China Molybdenum(洛陽欒川モリブデン)、ジェカミン、グレンコア、ノリリスク・ニッケル、ヴァーレの5社が抽出され、ヴァーレ以外の4社は、人権苦情申立が確認されている。一方ヴァーレも別途、マンガン採掘において人権苦情申立が確認されている。日本企業では住友商事が、亜鉛採掘で人権苦情申立が記録されている。
人権苦情申立の内容では、労働権侵害や、先住民の権利侵害だけでなく、幅広く環境インパクト、水アクセス、健康インパクト、租税回避、土地所有権侵害等も含んでいる。今回の調査対象となった大手企業の多くは、人権ポリシーを策定しているが、苦情申立が多いことから、企業は徹底されていないと批判する声も上がっている。
【参照ページ】Transition Minerals Tracker
【機関サイト】Transition Minerals Tracker
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