国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は9月22日、国連責任投資原則(PRI)の銀行版となる「国連責任銀行原則(PRB:Principles for Responsible Banking)」が正式発足したと発表した。世界131行でスタートした。
PRBは30銀行が創設機関として、他の参加銀行を募ってきた。創設機関は、米シティグループ、英バークレイズ、仏BNPパリバ、仏ソシエテ・ジェネラル、仏ナティクシス、蘭ING、蘭トリオドス銀行、西サンタンデール銀行、西BBVA、スウェーデン・ノルデア銀行、ギリシャPiraeus Bank、豪ナショナル・オーストラリア銀行、韓国・ハナ金融グループ、韓国・新韓フィナンシャルグループ、中国工商銀行(ICBC)、モンゴルGolomt Bank、タイCIMB Bank、インドYes Bank、豪ウエストパック・グループ、メキシコBanorte、ブラジルBanco Bradesco、エクアドルBanco Pichincha、トルコGaranti Bank、南アフリカFirstRand、南アフリカLand and Development Bank of South Africa(LADBSA)、南アフリカStandard Bank、エジプトArab African International Bank、エジプトCIB、ケニアKCB、ナイジェリアAccess Bank。
【参考】【国際】国連責任銀行原則PRB、加盟機関76に。原則文最終確定。加盟機関の履行義務も明らかに(2019年7月30日)
今回署名した131行の運用資産総額は47兆米ドル(約5,050兆円)。世界の銀行全体の3分の1の資産を占める。今回の正式発足を受け、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「同原則により、責任を果たすための説明責任と、実行を推進するための大志が生み出された」と強調。特に、気候変動緩和や気候変動適応の分野へのファイナンスが促進することを期待した。
途中の署名機関募集過程では、日本の銀行の出だしは遅かったものの、最終的に、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングスの4社が署名した。
一方、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、バンクトラック、グリーンピース、Profundo、urgewald、350.org等の環境NGO21団体は9月23日、PRBの発足を歓迎しつつも、実質的な成果を伴うよう要求した。特に、PRBが「グリーンウォッシュ」の手段となる恐れがあると指摘。署名銀行に対し、野心的かつ具体的な計画と目標の提示を求めた。
今回のNGOの声明では、21団体の一つバンクトラックが、PRBを創立した30銀行および早期に署名した29銀行に、各銀行の目標と実行計画を公開することで、PRB発足後すぐに本腰を入れて取り組むよう要請しましたものの、「計画を公開して信頼を高める機会とする代わりに、大多数のPRB創立銀行はその要請に無反応か、UNEP FIが起草した定型文を繰り返し、PRBでは長期の導入期間が認められているため現時点での計画の公開は不要だという回答が出されただけでした」と表明。人権、環境等の面で、明確なコミットメントを求めた。
【参照ページ】130 BANKS HOLDING USD 47 TRILLION IN ASSETS COMMIT TO CLIMATE ACTION AND SUSTAINABILITY
【参照ページ】NGO共同声明:グリーンウォッシュはもういらない、好結果がともなう原則を〜国連「責任銀行原則」発足をうけて〜 (2019/9/23)
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