気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9月25日、気候変動による海洋と氷圏への影響を分析した報告書「Special Report on the Ocean and Cryosphere in a Changing Climate」を発表した。9月24日に、加盟195ヶ国が承認した。世界では、山間部の6.7億人と沿岸部の6.8億人が影響を受けやすい環境におり、氷河消失や海面水位上昇、沿岸部での自然災害被害増大が生活に影響を及ぼしていく。
山間部では、氷河、雪、氷、永久凍土が縮小することにより、雪崩、地滑り、落石、洪水等の被害が拡大することが予想される。欧州、東アフリカ、アンデス庵脈、インドネシアの小規模氷河では、二酸化炭素排出量が高いままの水準が続けば、2100年までに氷量は80%以上減少すると見積もられている。さらに、観光や文化的な資産価値も減少する。
山間部の氷消失は、海面上昇をもたらす。20世紀に人類が経験した海面上昇は約15cmだったが、最近では2倍の速度の年間3.6mmにまで増えてきており、もし気温上昇が2℃より十分下にとどまるとしても、2100年までに30cmから60cm上がることが予想されるとした。一方大きく増加すれば、60cmから110cm増加する。海面水位上昇は、台風やハリケーンの沿岸部被害を拡大し、さらに洪水リスクも増大させてしまう。
また、海は現在、気象システム上の熱を90%以上吸収してくれている。しかし、2℃以内に留まったとしても、海面が抱える熱量は2倍から4倍に、排出量が増大し続ければ5倍から7倍にまで上がる。すると、海水温暖化現象が起き、海洋生態系に影響を与えてしまう。同様に、海水での二酸化炭素吸収量が上がり、海洋酸性化も懸念されている。
【参照ページ】Choices made now are critical for the future of our ocean and cryosphere
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