国連責任投資原則(PRI)は12月10日、パリ協定での目標達成のために気候変動での規制強化が起こると仮定した場合に、機関投資家の株式ポートフォリオ・パフォーマンスにどの程度の影響があるかをまとめたレポートを発表した。
PRIは9月、2023年から2025年の間に、各国政府での政策強化、消費者需要の変化、テクノロジーの発展、金融機関の低炭素積極化等の動きが起こることを予見したシナリオ「将来政策シナリオ(FPS)」を発表しており、今回の分析では、FPSと、国際エネルギー機関(IEA)の「新政策シナリオ(NPS)」の双方を活用。現状ベースのNPSからFPSへと世の中が移行した場合の感応度分析を実施した。
【参考】【国際】PRI、新たな気候変動シナリオレポート「IPR」発表。NPSを代替。投資家に参照呼びかけ(2019年9月17日)
FPS下での企業価値影響にでは、化石燃料やガソリン・ディーゼル車の需要減少、再生可能エネルギーや電気自動車の需要増加、カーボンプライシング(炭素価格制度)によるコスト増を主に考慮した。一方、物理的リスク、スコープ3の排出量、農業セクターへの影響等は、今回は考慮されておらず、実際にはもっと大きな企業価値影響が起こる可能性があるとした。
分析結果では、仮に今、FPS下での企業価値のリプライシングが起こった場合、iShares MSCI ACWI ETFの2050年までのパフォーマンスは、非シクリカルで3.1%減少。内訳は、需要減少とコスト増により4.0%ダウンし、需要増加分で0.9%の上昇。セクター別では、エネルギーセクターは、平均で33%のダウン。電力セクターは、追い風と向かい風の企業が両方存在するため、62%ダウンから41%アップまでと幅広い。また非OECE加盟国に本社のある企業の方がダウンサイドリスクが高い。
また、FPS下での企業価値リプライシングが2025年に起こった場合、iShares MSCI ACWI ETFのパフォーマンスは、非シクリカルで4.5%減少し、ダウンサイドリスクが拡大することがわかった。
【参照ページ】Forecast Policy Scenario: Equity Markets Impacts
【分析結果】
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