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【EU】欧州理事会、ポーランド除き2050年までのCO2ネット排出ゼロで合意。原子力にも言及

 EU加盟国の首脳で構成する欧州理事会は12月12日、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことで合意した。但し、現在電力の約8割を石炭火力発電に依存するポーランド政府のみは、エネルギー転換に対するEUからの財政支援が不明確として反対した。

 欧州理事会は、EUの公式機関だが、立法権はない。類似の機関に、EU加盟国の閣僚級で構成する「EU理事会」があるが、こちらは上院の役割を果たし、立法権がある。但し、欧州理事会は、加盟国の首脳が集うため政治的に重要性が極めて高く、EU理事会への実質的な影響力を持つ。欧州委員会は、2050年までのカーボンニュートラルをEU法化する立法手続きを進めており、今回の欧州理事会の決議により、ポーランドを除く加盟国からの実質的な支持を得たことになる。

【参考】【戦略】EU欧州委が定めた「欧州グリーンディール政策」の内容。〜9つの政策骨子を詳細解説〜(2019年12月12日)

 今回の決議では、カーボンニュートラルを目指すことで、経済成長、新たなビジネスモデルや市場の育成、雇用創出、技術開発等、著しい機会が得られると言及。一方で、多額の投資が必要となることから、すでに気候変動分野へのファイナンス強化を表明している欧州投資銀行(EIB)とInvestEU、さらに欧州委員会が「欧州グリーンディール」政策に盛り込んだ「Just Transition Mechanism」に対する支持を表明した。

 原子力発電については、カーボンニュートラルを実現するための電源構成は、各加盟国で最適解を導き出すべきとし、原子力を活用していく加盟国があることにも留意した。

 二酸化炭素排出基準を強化することで企業がEU域外に移転してしまう「カーボン・リーケージ」への懸念については、欧州委員会が「欧州グリーンディール」政策に盛り込んだカーボン輸入税構想を支持。輸入品メーカーに対しては、高い環境・安全性基準を要求する必要性についても言及した。但し、世界貿易機関(WTO)ルールには留意を示した。

 欧州理事会は、今回ポーランドが留保したことで、再度2020年6月に開催される欧州理事会で同案件を扱う。ポーランド政府は、今回の欧州理事会の中で、2070年であればカーボンニュートラルを実現できそうだとしたが、他の首脳から却下された。

【参照ページ】European Council conclusions, 12 December 2019
【参照ページ】Turning challenge into opportunity on the course to becoming the first climate-neutral continent

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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