【日本】小泉環境相、ブンアン2石炭火力事業が首相官邸決定の「石炭火力輸出4要件」に違反と批判 2020/01/27 最新ニュース

【日本】小泉環境相、ブンアン2石炭火力事業が首相官邸決定の「石炭火力輸出4要件」に違反と批判 1

 小泉進次郎環境相は1月21日、記者会見の中で、日本の官民が投融資する形で建設計画が進めているベトナムの「ブンアン2石炭火力発電事業」について、首相官邸の会議で決定した石炭火力輸出4要件への違反を指摘。問題があると批判した。

 同事業の事業主体は、2007年に事業運営用に特別目的会社(SPC)として設立された「Vung Ang 2 Thermal Power Joint Stock Company(VAPCO)」。同社の最大出資者は、三菱商事100%保有のDiamond Generating Asia40%、中国電力20%、香港電力大手CLPが40%で構成するOneEnergyで当初から30%を出資していた。それ以外の出資者は、現地のLILAMAが25%、リー冷蔵電気工業(REE)が23%、その他22%。しかしその後、LILAMAが2011年9月に撤退し、持分をREEに売却、2012年にはその他の出資者も整理され、REEが過半の51.55%、OneEnergyが48.45%を保有する構成となったが、そのREEも2018年4月に撤退し、持分を全てOneEnergyに売却し、現在OneEnergyによる単独事業となっている。

 またOneEnergyの内部でも、持分の40%を保有するCLPが、2019年12月に石炭火力発電新設を禁止し、事業撤退を表明し、現在売却先の調整を進めていると報じられている。

【参考】【香港】電力大手CLP、石炭火力新設禁止。2050年までに既存石炭火力も段階的廃止。CO2を80%減(2019年12月20日)

 融資側では、国際協力銀行(JBIC)が中心的な役割を果たすとともに、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行が融資団に加わる見込み。同4行は、石炭火力発電新設へのファイナンスを原則禁止しているが、すでに計画が進んでいるものは責任を全うする立場を示しているため、同案件は継続する見込み。融資団には他にも、シンガポールのOCBC、DBS、イギリスのスタンダードチャータードが加わっていたが、DBSとスタンダートチャータードは石炭火力発電ファイナンスを禁止する方針を決定したことで、同事業から撤退した。

【日本】小泉環境相、ブンアン2石炭火力事業が首相官邸決定の「石炭火力輸出4要件」に違反と批判 2
(出所)公開情報を基にニューラル作成

 一方、今回の石炭火力発電の建設と運営を担うことで合意しているのは、GEと中国能源建設集団広東省電力設計(Energy China GPEC)。高効率石炭火力発電は、日本の案件では日本製を用いることが多かったが、同案件ではGE製が内定している。

 この案件に対し、小泉環境相は、「日本の商社が出資をして、そしてJBICが入り、これは結果的にプラントのメーカーとして中国のエナジーチャイナ、そしてアメリカのGE、こういった形で成っています。私は、今までこの4要件の話の中でさんざん聞いてきた一つのロジックというのは、日本がやらないと中国が席巻すると、そういったことも聞いてきました。しかし、この構図は、日本がお金を出して、結果、つくっているのは中国とアメリカと、こういう実態を私はやはりおかしいと思います」と発言。「4要件」という観点から、同事業に問題があるとの考えを突きつけた。

 4要件については、小泉環境相は12月の会見の中でも言及している。「今のエネルギー基本計画で、石炭輸出に関してはいわゆる四要件といわれるものがあります。エネルギー安全保障及び経済性の観点から、石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限るということ、そして二つめが我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合ということ、三つめが相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的なかたちでということ、四つめが原則USC(超々臨界圧)以上ということ」。今回のブンアン2は、この2つ目の要件に反していることとなる。

 実際に、4要件は、首相が議長を務め、内閣官房に設置された「経協インフラ戦略会議」が2018年6月に採択した「インフラシステム輸出戦略(平成30年度改訂版)」の中でも、「エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、相手国から、我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合には、OECDルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、原則、世界最新鋭である超々臨界圧(USC)以上の発電設備について導入を支援」と明記されており、小泉環境相の指摘を裏付ける内容になっている。

 石炭火力発電事業については、従来環境省は否定的な立場を取っていたが、発電所に関する権限は経済産業省にあり、口が出せなかった。しかし今回、小泉氏は、内閣で定めた内規違反という観点を突き、石炭火力発電事業を批判。小泉氏に明らかに分がある展開となっている。同様の違反案件は、今後も詳らかになる可能性がある。

【参照ページ】小泉大臣記者会見録(令和2年1月21日(火)11:02 ~ 11:34 於:環境省第1会議室)
【参照ページ】小泉大臣COP 25_内外記者会見録(令和元年12月11日(水)17:30~18:00 於:プレスコンフェレンスルーム)
【参照ページ】ベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業
【参照ページ】インフラシステム輸出戦略(平成30年度改訂版)

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る