国際人権NGO国際法律家委員会(ICJ)は2月17日、内戦や社会紛争、独裁政治下での事業活動を行う企業にとっての人権の考え方を整理したガイダンスを発表した。
今回のレポートは、国際人権法上の移行期正義(Transitional Justice)、経済的、社会的及び文化的権利、ビジネスと人権の3つの観点や相互の関係を分析したもの。
移行期正義とは、大規模な人権侵害が発生した抑圧的な政治体制から民主主義へと移行した際や、内戦や社会紛争等から平和期へと移行した際に、過去の人権侵害をどのように和解へと導くかという概念。「移行期正義にかかる国連のアプローチ」という国連事務総長のガイダンスノートが2004年に発行されてから一層概念が確立している。しかし移行期正義は国家に対する行為のみが対象となっているが、今回のガイダンスでは企業に対してどのように扱えるかを意欲的に分析した。
また抑圧下での人権侵害では、市民的及び政治的権利の人権侵害のみが扱われることが多かったが、もう一つの人権概念である「経済的、社会的及び文化的権利」を新たに取り上げ、企業との関わりを論じた。
ガイダンスの後半では、アルゼンチン、コロンビア、東ティモール、モーリシャス、リベリア、南アフリカ、チュニジアの例を挙げ、幅広いステークホルダーにとって考慮すべき移行期正義の考え方をまとめた。
【参照ページ】Corporate Accountability for Abuses of Economic, Social & Cultural Rights in Conflict and Transition – ICJ new guide
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