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【オセアニア】8ヵ国で現代奴隷が加速。政府運営の労働制度でもリスク高まる。NGO報告

 オーストラリア人権NGOのWalk Free Foundation(WFF)は3月4日、オーストラリアやニュージーランドを含むオセアニア8ヵ国で現代奴隷が水面下で加速していると発表した。主な要因として貧困問題、治安維持の欠如、移動労働者の不適切な措置、さらには気候変動問題や外国からの投資プロジェクトを挙げ、各国政府や自治体、ビジネスリーダーに向けて取り組みを強化するよう警鐘を鳴らした。

 今回の調査はオセアニア地域を対象としており、現代の奴隷制があると報告された国は、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツ。WFFは現代奴隷の定義を、強制労働、ヒューマン・トラフィッキング(人身取引)、強制結婚を含む奴隷制度の3つの総称としている。調査は2009年以降に発行された各種文献によるリサーチと、インタビューに基づく統計によって行われた。

 WFFは、経済国による太平洋島嶼国への投資プロジェクトが現代の奴隷制のリスクを高めていると指摘し、中国やアジア諸国から来た男性労働者は強制労働のリスクが、女性労働者は人身売買や性的搾取のリスクが増加したと報告。出稼ぎ労働者は正式なサポートが受けられず、移住先で生じる言語の壁によって立場がさらに悪化する傾向にあるとし、フィジーの建設産業における男性の移民労働者の間では、常習的にパスポートが没収されていることがインタビューによって明らかになった。一方でフィジーおよびソロモン諸島の政府は、外国からの投資の影響を恐れて労働基準を見直す意思がほとんどないと伝えられた。

 また同地域では気候変動による自然災害が増加すればするほど、安全でない環境下で作業する労働者が、密輸業者と接触しやすい傾向にあるという。さらに土地の権利を巡る際は、慣習的に土地の保有にアクセスしづらい女性が強制結婚を迫られるケースが生じていることが明らかになった。

 オーストラリアとニュージーランド政府が運営している労働移民制度「レイバー・モビリティ・スキーム」に参加する労働者も現代奴隷制の対象になりやすいことが判明した。「レイバー・モビリティ・スキーム」は、オーストラリアとニュージーランド政府が、地元の労働不足問題を解消するために、太平洋島嶼のフィジーやサモア等12ヵ国の国民に対し、期限付きの労働機会を提供するもの。同制度を活用した労働者は強制労働を迫られるケースが多く、また労働者が自身の配偶者(主に女性)や子供へ送金をやめた場合、残された家族の脆弱性が高まり間接的にも現代奴隷の被害者となる。さらには出稼ぎ労働者が自国へ戻り、元の環境に直面すると家庭内暴力が増加する傾向があることが指摘された。

 SDGsのターゲット8.7では、2025年までにあらゆる形態の児童労働を撤廃し、2030年までに現代の奴隷制を撲滅することが謳われている。WFFは、オセアニア地域における現在の奴隷制は気候変動や貧困問題と並ぶ深刻で継続している問題である見解を示し、政府や社会、ビジネスリーダーに協力し対策を講じるよう呼びかけた。また同時に被害者の特定、警察と検察官の訓練、支援サービスの開始を急速に進めるよう警告した。

【参照ページ】NEW REPORT REVEALS MODERN SLAVERY AND HUMAN RIGHTS VIOLATIONS IN AUSTRALIA, NEW ZEALAND AND THE PACIFIC

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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