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【国際】欧米、新型コロナの検査体制拡大で抗体検査に活路。日本政府はPCR検査を維持の姿勢

 新型コロナウイルス・パンデミックの感染状況の把握や、ソーシャル・ディスタンシング措置緩和後のサーベイランスとして、新型コロナウイルスの検査体制の拡充が注目される中、各国で具体的な動きが出てきている。

 米ドナルド・トランプ大統領は4月28日、記者会見の中で、全米で1日500万人の検査体制が実現されるだろうとの観測を表明した。米国では4月20日にハーバード大学から1日500万人、さらには2000万人の検査体制整備がソーシャル・ディスタンシング措置緩和のために必要との試算を発表。それを受けての500万人という数字の表明となった。

【参考】【アメリカ】ハーバード大、新型コロナで経済再開に向け毎日500万人検査可能な体制構築を提言(2020年4月25日)

 米国では、ブルット・ギロイル次官補が4月27日に500万人の検査体制は地球上には存在しないと表明した後、トランプ大統領が同日の記者会見で、500万人の実現体制がまもなく整備されると発言。しかし翌28日の記者会見で、「500万人とは言っていない」が、「実現するだろう」と表現を改めた。

 米国では、各州政府での検査体制各順が進んでおり、4月22日には1日で最大の31万件超の検査を実施。これまでに累計での検査数は570万を越えた。小売大手のウォルマートや、ドラッグストア大手CVSでも検査場を設ける調整が進んでいる模様。だが1日500万件が本当に達成できるかについては懐疑的な見方も依然強い。

 米国では保健福祉省の食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)制度を活用し、多数の検査キットを承認している。初期には、日本でも名前が知られるようになったPCR検査が主流だったが、4月の中旬からは、PCR検査より簡易な「血清検査(抗体検査)」タイプの検査キットも承認されてきている。PCR検査が、結果判定に数時間を要するのに対し、血清検査は1時間ほどで結果が出る。

 EUでも、EU安全基準を満たす「CEマーク」の取得が進んでいる。EUでも同様に、初期はPCR検査が主流だったが、抗体検査のキットの承認も出てきている。中国の浙江東方基因生物制品の抗体検査キットにもCEマークが付いた。EUでも迅速検査キットの普及に向けた検討が進められている。スイスNPOのFINDの性能評価も信頼性の高い情報として扱われている。

 英国でも、CEマークや世界保健機関(WHO)のガイドラインを参考にするよう政府がガイドラインを4月2日に出した。また4月4日には、オックスフォード大学、BBIソリューションズ、アビントン・ヘルス、CIGAヘルスケア、Omega Diagnosticsが、「UK Rapid Test Consortium」を発足し、迅速検査キットを推進している。

 日本では、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部は4月15日付の都道府県向け事務連絡で、PCR検査に特化した「地域外来・検査センター」を医師会の医療機関に設置することを認める考えを表明。それ以降、都道府県や市町村での「PCRセンター」の設置が進んできている。

 日本企業では、クラボウや塩野義製薬が3月中旬、中国で開発された抗体検査キットを日本国内で販売し、検査数増加を支援する動きを開始。特に抗体検査の中でも、特別な装置を必要とせず目視判定が可能な「イムノクロマト法」を用いている検査キットが多い。イムノクロマト法は、検査数のスピードアップのために中国政府が標準活用した検査手法で、わずか10分や15分で判定結果が出る。

 中国製の検査キットについては、加藤勝信・厚生労働相からも記者会見の中で、「中国における使われ方について、企業から話を聞かせていただいた上で、有効に活用できるものであるならば、我々としても速やかに現場等で使えるように検討していきたいと思っております。」と発言があり、活用が模索されてきた。だが国立感染症研究所は4月1日、イムノクロマト法の抗体検査の評価結果を発表し、必ずしも性能が高くない旨を表明。さらに4月14日には、イムノクロマト法の検査キットは、「COVID-19の早期診断に対する意義は低い」と断じた埼玉医科大学の論文を紹介。迅速な検査のためには抗体検査の必要性は認めつつも、当面はPCR検査を貫く姿勢を見せている。

 一方、抗体検査で大規模対応を実施した中国では、事態収束後に企業によるPCR検査サービスが相次いで始まっている。中国では、感染状況を不安視する市民も多く、今になって精度の高い検査のニーズが増えている。IT大手アリババは4月21日、医療プラットフォーム「阿里健康(アリヘルス)」を通じて、PCR検査のオンライン予約サービスを開始。北京、杭州、上海、広州等10都市で始め、すぐにその他28都市にも対象地域を拡大した。予約すると検査キットが届き、郵送すると24時間以内にオンラインで検査報告書が閲覧できるようになる。EC大手の拼多多も4月23日、遺伝子研究大手・華大基因(BGI)等と提携し、オンラインでのPCR検査の予約サービスを開始した。

 経済活動を復帰させるためには、サーベイランスのための検査体制の拡充が不可欠と言われている。検査数が早期に増やした韓国も、自国内で抗体検査キットを開発し投入した。検査精度と検査スピードを見極める力が、経済活動のに影響を与える様相を呈してきた。

【参照ページ】Coronavirus Test Tracker: Commercially Available COVID-19 Diagnostic Tests
【参照ページ】An overview of the rapid test situation for COVID-19 diagnosis in the EU/EEA
【参照ページ】Guidance on coronavirus (COVID-19) tests and testing kits
【参照ページ】Institutions form UK Coronavirus testing consortium
【参照ページ】「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」の販売開始について
【参照ページ】加藤大臣会見概要
【参照ページ】迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価
【参照ページ】イムノクロマト法を用いたCOVID-19診断の意義の検証
【参照ページ】Serological immunochromatographic approach in diagnosis with SARS-CoV-2 infected COVID-19 patients

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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